防大かわら版
防大かわら版vol.172
掲示内容一覧
- 校友会の紹介
- 定期訓練参加所感
グライダー部「空飛ぶスポーツ」
神野 学生
「自由に空を飛んでみたい」と、誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。すぐそこに見えているのに、とてつもなく遠く感じられる空に、私は形容し難い魅力を感じます。私がグライダー部に入部したのは、そういった漠然とした空への憧れからでした。
グライダーとは、端的に言えば動力を持たない航空機のことです。動力を持たないため、旅客機や戦闘機のように自力で飛び続けることはできません。しかし、上昇気流にのることでどこまでも高く、遠くへ飛ぶことができます。グライダーに乗り、高度3000mからの景色を独り占めした経験は、今でも忘れられません。
私達は年間で12~14回ほど、陸上自衛隊木更津駐屯地にてグライダーを飛ばす活動をしています。グライダーが離陸する際は、飛行機またはウィンチにより曳航することで揚力を得ます。グライダーを飛ばすためには、グライダーを曳航するウィンチ、ウィンチが巻き取ったワイヤーを伸ばすリトリブ、ウィンチから伸びるワイヤーとグライダーを接続する列線作業員、全体に指示を出す飛行指揮所、それらが力を結集することでようやくグライダーは飛び立つことができます。部員は各所で作業をしつつ交代でグライダーに乗り込み、1日に1,2回の飛行を楽しむことができます。空を飛ぶときは一人ですが、その一回の飛行がチーム全体の力に支えられている。グライダーは、個人競技と団体競技という二つの側面を併せ持つスポーツなのです。
私達の目標は、日本学生航空連盟が主催し、約30校が滑翔技術を競う大会に出場し、優秀な成績を収めることです。そのためには、大会出場資格を持つ部員の継続的な育成が不可欠です。私達は新型コロナウイルスの影響で2019年以降、長い期間大会に出場することができませんでした。そして昨年度、ようやく大会への出場が叶いました。資格の取得や諸手続きのノウハウがほとんど失われた状況での大会出場には、相当な苦労がありました。そして、そんな逆境の中で関東大会では先代主将が個人43人中2位、各地区大会で選抜された16チームが争う全国大会では先々代主将が個人37人中6位という成績を収めたことは、偉業というほかありません。後輩たちに同じ苦労をさせないためにも、継続的に大会に参加できるような環境整備を行っていく所存です。
私達の活動は、航空機の操縦という貴重な経験ができる反面、常に危険と隣り合わせにあります。今年の8月31日には、他大学の航空部において痛ましい事故が発生してしまいました。今回の事故を受けて、防大グライダー部としても現状の見直しとさらなる安全対策を徹底し、今後も安全な運航を心がけて参ります。
最後に、私達の活動は活動場所を提供してくださる陸自木更津駐屯地・空自木更津分屯基地やOB・OGの方々のご支援・ご協力のもと成り立っています。日頃から感謝の気持をもって活動するとともに、大会で結果を残すことで、応援した甲斐があったと思っていただければ幸いです。
この記事を読んでグライダーに興味を持ち、「将来自分もグライダーに乗りたい」と思ってくれた中学生、高校生の方がいれば、とても嬉しいです。そして、皆さんが防大受験を考えるきっかけになれば幸いです。私はあと1年ほどで防大を卒業しますが、後輩たちがどのような活躍をし、今後のグライダー部がどのようになってゆくのか、それを見るのが今から楽しみです。



ソフトテニス部「紳士の中にある野蛮さ」
濵津 学生
70期ソフトテニス部主将の濵津学生です。防衛大学校ソフトテニス部は、関東学生ソフトテニスリーグ戦に参加し、9部リーグ昇格を目標に日々練習に励んでおります。今回、ソフトテニス部として防大かわら版に寄稿する機会を頂いたため、ソフトテニスの魅力について書いていこうと思います。
ソフトテニスは、明治時代に日本で生まれたスポーツで、日本で発祥した後、韓国・台湾・中国などアジア各国に広まりました。現在では、国際大会も開催されており、世界ソフトテニス選手権大会が代表的なものとなっています。硬式テニスと比べて、ボールが柔らかくラケットが軽いのが特徴で、中学生の競技人口が多く、初心者でも始めやすい競技となっています。しかし、なんといってもソフトテニスの魅力は、良い意味での野蛮さにあります。硬式テニスの試合では、選手以外は声を出してはならず、応援は拍手のみとなっており「テニスは紳士のスポーツ」というのを体現しているように思います。しかし、ソフトテニスの試合では、大きな声で仲間の得点を喜び、スーパープレーが出れば、会場全体が震えるほどの歓声に包まれます。緊張しているときには、雄たけびを上げ、緊張をほぐし、その熱が伝わったかのように、観客が盛り上がり、試合の流れが変わるということも少なくありません。私は、応援で背中を押されるというのを何百回も体験してきました。また、これはソフトテニスの嫌なところですが、やはりこれも相手の失点を喜び、意地悪く同じところに攻め込み、会場全体を沸かせた声援で相手の心を折ることもあります。勝つためには、常に心は平静でなければなりません。もちろんソフトテニスも、相手をリスペクトし、スポーツマンシップに則ってプレーをしています。個人的には、ソフトテニスは「紳士の中にある野蛮さ」を体現しているように思います。
この投稿を読んで少しでもソフトテニスに興味を持っていただければ幸いです。最後に、普段より指導してくださる顧問、OBの方々のご尽力に深く感謝し、結びとさせていただきます。


秋季定期訓練参加所感
藤川 学生
私は、令和7年10月13(月)から17日(金)の5日間、北富士演習場と校内訓練場で行われた秋季定期訓練に参加しました。そこでは行進、地図判読、戦闘訓練等、将来の自衛官として必要な基礎的訓練を行いました。
行進では、私は腰を怪我していた為、重い荷物が持てず、代わりに比較的軽量な通信機を背負って16km行進に挑みました。道中は坂道や砂利道といった平坦ではない道が多く、体力的にも厳しい場面がいくつかありましたが、同期と励まし合い、休止間には助教と話をしたりして、完歩することができました。
地図判読では、陸上自衛官の助教に地図の読み取り方やコンパスの使い方を丁寧に教えていただきました。実際に任務において運用している助教から教わることは大変解りやすく、陸上自衛隊に関する様々な話も聞くことができました。また、同期と話し合いながら協力して目的地に到達することができ、絆が深まったと感じました。
戦闘訓練では、自らの存在が自然の景観に溶け込むように初めてドーランという顔に塗り込む迷彩用顔料を塗り、背中には草を刺して偽装し、訓練を行いました。同期と共に大きな声を出し、励まし合うことで最後まで任務を完遂することができ、仲間との協力が非常に大切なことだと感じました。
今回の秋季定期訓練を通じて、普段は味わうことができない貴重な経験を積むことができました。今後、陸・海・空いずれかの要員に分かれることとなりますが、どの要員になっても今回学んだことは必ず活かせると思うので、今後の糧にしていきたいです。


中島 学生
私は、令和7年10月13日(月)から17日(金)の間、北富士演習場及び防衛大学校校内おいて秋季定期訓練に参加しました。行進、射撃、宿営など、主に陸上自衛隊の基礎的な訓練を行いました。
行進においては、個人装備に加えて各種物品を詰めた背嚢を背負い、16kmを行進しました。私が所属する分隊での目標は、「全員完歩」であったため、落伍しそうな同期の武器や背嚢を分担して持ち合ったり、背中を押して行進を助けたりする場面が幾度かあり、行進に関する基礎動作はもとより、厳しい状況下における同期間協力の重要性も認識できたと実感しています。
宿営では、天幕(テント)設営基礎、飯盒炊飯、歩哨勤務等を実施しました。特に、天幕設営では設営指揮を行う助教役を務めたことにより、指揮要領を学ぶ良い機会になりました。
今回の訓練で実施した内容は、陸上自衛隊においては基礎中の基礎ではありますが、そうした識能を曹士の仕事と割り切るのではなく、徹底・熟知することが幹部自衛官になる者としての大切な第一歩であると考えています。
また、秋季定期訓練を通して同期間の団結・規律・士気が更に向上し、少しずつではありますが、確実に目指すべき幹部自衛官に近づくことができたのではないかと思います。


宇佐美 学生
私たち1学年は、今回の秋季定期訓練で実施した射撃、戦闘訓練、16km行進、天幕の設営、飯盒炊飯及び地図判読等を通して、陸上自衛隊の魅力をたくさん見つけることができました。
シミュレータを使用した射撃訓練では、夏季定期訓練における自身の射撃結果を踏まえ、その課題を克服するため集中して臨んだ結果、より安定した射撃姿勢をとれるようになりました。
戦闘訓練においてはドーランを使用し偽装した状態で訓練を行いました。偽装の効果を実感するとともに、同期の動きを観察する中で、自分自身の良い点も改善すべき点も見つけることができました。
16km行進においては雨上がりの歩きづらい状況でしたが、校内訓練では味わえない景色の変化を感じながら、一定のペースを維持しつつ訓練班全員が完歩することができました。
宿営の天幕設営では、同期と声を掛け合いながら設営を行い、設営の要領を理解することができました。また、飯盒炊飯においても同期との協力は不可欠で、仲間と同じ火を囲んで食べたご飯はとても美味しかったです。
地図判読では、コンパスや地図を用いて、現在地及び目的地を特定する方法を学びました。人によってコンパスの読み方や距離の計測に差が生まれたりして苦労した場面もありましたが、結果的に班員全員で協力して乗り越えることができました。目的地に向けて、藪の中を通る「藪漕ぎ」も経験し、そのメリットやデメリットについて身をもって感じることができました。
秋季定期訓練を通して、教官からの貴重な経験談やアドバイス、同期との協力、個人としての能力の向上など、得たものがたくさんありました。この経験を今後の訓練に生かし、さらなる成長を目指し、努力していきます。


橋本 学生
私は、令和7年10月14日(火)から17日(金)の4日間、北富士演習場で実施された秋季定期訓練に参加しました。
初日は、戦闘訓練(敵の陣地へ攻撃)を行いました。校内での練成成果を踏まえ、射撃と運動(目標へ前進)について同期と連携を図り、敵の陣地へ攻撃し撃破することができました。
2日目の訓練は、行進(目的地まで徒歩で移動)でした。荷物を入れた背嚢(リュックサック)及び小銃を携行し、16kmを行進しました。険しい山道、天候の急変による雨など、肉体的・精神的に辛い状況となったものの、同期と励まし合い完歩することができました。
3日目~4日目の訓練は、地図判読(地図とコンパスを使用し目的地まで前進)、歩哨・動哨訓練(敵を警戒・見回る)及び宿営(体力の温存・回復)でした。地図判読は、正しく前進できているのか不安になったものの、同期と意見交換しつつ、無事に目的地に着くことができました。歩哨・動哨訓練は、夜間であり緊張感はあったものの、練成通り誰何(敵か味方かを合言葉で判別)することができました。宿営訓練は、6人用天幕(テント)の設営及び飯盒炊飯(野外でご飯を炊く)を実施し、体力を温存・回復する重要性について理解することができました。
私は、秋季定期訓練を通して、肉体的及び精神的に自信を持つことができました。また、合わせて同期の大切さを再認識することができたため、引き続き「絆」を深めたいと思います。

