防大かわら版
防大かわら版vol.166

掲示内容一覧
- サンドハースト競技会に参加して
- カッター競技会を終えて
サンドハースト競技会に参加して
西藤 学生
第11期サンドハースト訓練隊分隊長の西藤学生です。
サンドハースト競技会とは、毎年4月に米国陸軍士官学校(ウエストポイント)において、米国と世界各国の選抜された士官候候補生(1チーム11名)が1夜2日の連続状況下で射撃、戦闘救護、水路機動、手榴弾投擲、地図判読等の各種戦闘技術を通じて体力や精神力、チーム力などの総合的な力を競う競技会です。今年の競技会は、日本を含む16カ国48チームが参加しました。
私は、昨年の第10期訓練隊では副分隊長として参加し、その際各国の士官候補生との体格の差や英語力の差などを実感しました。今年こそは絶対に昨年以上の好成績を残してやるという強い思いを胸に、昨年11月から訓練に励んできましたが、結果は、昨年度の31位から順位を落とし36位という結果に終わりました。体格面等で劣る日本がいかにして勝つか、勝てる強いチームとは何かを考え、模索し訓練に励んできましたが、思うような結果を残すことができず忸怩たる思いです。
全てが終わった今、日本での事前訓練、米国での慣熟訓練、そして競技会本番を振り返ると、自分自身と真正面から向き合い、常に勝つことを考え続けていました。自らの強みと弱みを見つめ直し、分隊にどのように貢献できるかを模索し、常に自らの限界を超えようと鍛えてきました。そして、困難な状況に直面したときこそ、仲間と鼓舞し合い、切磋琢磨することで互いを高め合ってきました。共に訓練を重ねた仲間たちは、今や学年の垣根を越えて本音を語り合える、かけがえのない最高のチームになりました。いかなる厳しい状況に置かれても、勝利を追求し諦めずに信じて付いてきてくれた分隊員には感謝しかありません。
最後になりますが、これまで多くの訓練を丁寧にご指導いただき、また常に温かく応援してくださった指導教官および11期指導部の方々、あわせて、私たちの活動を見守り、力強く支えてくださった防衛大学校の職員の皆様・学生に深く感謝を申し上げます。



カッター競技会を終えて
本多 学生
令和7年4月22日にカッター競技会が行われました。カッター競技会とは、毎年4月下旬に行われ、下部写真のような小型艇を第2学年が12人で櫂を漕ぎ、2000mを競争する競技会です。私は33中隊のクルーヘッドという役職を務めました。クルーヘッドとは33中隊のリーダーであり、クルー全体の指揮を執ります。
今年は例年よりも海に出て練習を行う機会が少なく、1回の練習がとても貴重な時間でした。練習において苦労した点は、12人の漕手がタイミングを合わせて漕ぐことで、少しのズレが全体のパフォーマンスに響くため、日々の練習に加え、海に出ていないときは零細時間を活用し、漕ぎの研究や上級生への漕ぎ方の相談、ミーティング等を限られた時間の中で効率的に取り組み、練習を重ねました。また3大隊内でのレースを何度か行ったことで、レース本番同様の雰囲気作りや、後半の辛い場面での声出しなどたくさん学ぶことがありました。レースの計画だけでなく、創意工夫した練成計画を立案した上級生に感謝しつつ、本番を迎えました。
本番当日は天気も晴れ、風もなく、絶好のカッター日和でした。私たち33クルーは練習してきた成果を遺憾なく発揮し、見事優勝することができました。また、大隊レースで競い合った良き3大隊のライバルクルーも2、3位と入賞し、1位・2位・3位を3大隊が占め、これにより大隊優勝するという最高の結果につながりました。
今回のカッター競技会を通じ、単なる体力や技術だけでなく、リーダーシップやフォロワーシップ、チームワークの重要性を学ぶことができました。カッターは一人の力では進まず全員の息を合わせて漕ぐ必要があります。漕ぎ手、リズムをとって声を出す艇指揮、艇の舵を取る艇長、仲間を鼓舞する予備など役割分担が明確であり、それぞれの責任を果たすことが求められます。小さなミスでも全体のパフォーマンスに影響するため、仲間を信頼し、支え合う姿勢がチームの勝利に直結しました。練習間、思うような結果が出ない状況でチームの雰囲気が低迷した状況でも、みんなで基礎を大切にして、仲間へ声掛けを続けました。怪我で練習に参加できない学生には、様々なサポートをしてもらい、クルーのみならず中隊全員で競技会に臨む環境を整えました。そして、結果的に大隊優勝という成果を飾ることができ、とても貴重な経験になりました。

