防衛大学校National Defense Academy

防大かわら版

防大かわら版vol158

防大かわら版

掲示内容一覧

  • 前期学生隊学生長としての決意・抱負
  • カッター競技会優勝大隊所感
  • サンドハースト競技会参加所感
  • 月例観閲行進訓練所感
  • 校友会紹介【山岳部・短艇委員会】

前期学生隊学生長としての決意・抱負

冨村 学生

皆さん、こんにちは。前期学生隊学生長を務めます、冨村学生です。
今年度の学生隊は「日本の未来を担う者としての自覚の萌芽」という1年間を通じた目標のもと研鑽に励みます。その目標達成のため、「良好な人間関係の構築」と「修学環境の整備」という前期目標を立てました。
前者は、集団生活の基礎となることは言うまでもありませんが、将来の幹部自衛官としての資質を高めあうために行う指導の前提となるものです。ハラスメントを防ぎ、また、その効果をその場しのぎの一過性のものにしないためにも、良好な人間関係を構築することは特に重要であると考えます。
後者は、「服務の宣誓」において誓った学業への意識を潰えさせないために設定した物です。学業の成果を開花させるには長い時間が必要ですが、その芽を枯らさないためにも日々の地道な水やりが肝要です。前期は特に環境の変化によるストレスが大きく、学業への取り組みが蔑ろになりがちです。広い視野・伸展性のある資質を確立するための核となる学業に注力できる環境づくりに学生一丸となって取り組みたいと考えています。
私は尊敬する指導教官に「幹部は部隊を変えられる」と教わりました。幹部自衛官は、国防の務めを果たす部隊の諸制度のみならず、雰囲気をも左右する重大な役割を担うことになりますが、本校で過ごす4年間が幹部自衛官の基礎となります。そのことは、学生舎生活の最小単位である部屋の雰囲気が将来の部隊の雰囲気に影響を与えることや、各学生に課せられた任務へ邁進する姿勢に影響を与えることを示しています。学生の一挙手一投足が未来の自衛隊を形作るものであると信じ、学生のため、未来の自衛隊のため、ひいては日本のために前期学生隊学生長として全力を尽くして勤務する所存です。

カッター競技会優勝大隊所感

萩野 学生

1大隊の歴史が変わった。1大隊はここ数年各種競技会において優勝から遠ざかり、競技会で優勝した際に学生舎の玄関に飾ることができる看板が各大隊の中で唯一全くない大隊でした。
そんな中、今年度最初の競技会であるカッター競技会に12(中隊)クルーヘッドとして臨み、「金(優勝)クルーになる。1大隊に看板を飾る。」を目標に、上級生クルースタッフからのアドバイスや練習メニューを信じ、約1ヶ月間の厳しい訓練に全力で励んだ結果、大隊内のレースでは1位、2位を争うようになるまで成長することができました。
そして小雨が降る生憎の天候の中迎えた本番、12クルーは目標としていた金クルーには一歩届かなかったものの、自己ベストを更新して準優勝を獲得するとともに、1大隊は、5年ぶりに優勝することができ、悲願の「カッター競技会優勝大隊」の看板を獲得することができました。
これは、1大隊全クルーの努力、クルースタッフの指導・サポート及び大隊一丸となった応援に加え遠方から駆けつけてくれた家族等の応援の結果であり、大隊の団結心の強さが象徴されたものだと思います。
今回の競技会での優勝が、大隊の更なる団結の強化と、勢いをつけることとなったのは間違いありません。
ここから、第1大隊は、常勝軍団となります。

カッター競技会の様子
1大隊集合写真

サンドハースト競技会参加所感

酒井 学生

第10期サンドハースト訓練隊分隊長の酒井学生です。
サンドハースト競技会とは、毎年4月に米国陸軍士官学校にて米国と招待国の士官学校から選抜された1チーム12名の代表選手が1夜2日間の状況下で体力、射撃、野外衛生、地図判読、手榴弾投擲等の各種戦闘技術、チーム力を競う国際的な総合戦技競技会です。
今大会には、16ヶ国から合計48チームが参加しました。昨年の43位から順位は上げたものの全体の31位という悔しい結果に終わりました。
競技会本番における重量物運搬等で、同年代の士官候補生達の体力的な強さを感じるとともに、他国に比べ初めての状況に戸惑う等瞬時の適応力及び射撃技術等に関して未熟さを痛感させられました。しかし、TCCC(第一線救護)及び機動(各競技間の移動時間(合計約12km))ではそれぞれ9位、7位という成果もありました。今年度の反省を活かし、射撃等の技術面及び体格差を克服する体力の向上により更に上位を目指せるという確信も得ました。
米国陸軍士官学校での約1週間の滞在を通じて各国の誇りや戦い方を学び、改めて日本代表としての誇りを感じるとともに日本人らしく各競技に対して愚直に粘り強く臨む姿勢を海外チームに示せたと実感しています。
昨年10月の選考から約半年間、厳しい訓練に最後までついてきてくれた最高の分隊員達には感謝しかありません。
分隊長として米国で戦ったこの経験はとても貴重なものとなり、自信を得る事ができました。この経験の中で得たものを後輩に継承し、強い日本チームを作れるよう、来年度の第11期サンドハースト訓練隊の育成に貢献していきます。
最後になりますが、多くの訓練を指導し応援してくださった指導官の皆さま、第10期指導学生、10年間サンドハースト準備訓練隊を紡いできてくださった方々、そして私たちの訓練を暖かく見守り応援してくださった防衛大学校の職員・学生の方々への感謝を申し上げて、サンドハースト競技会参加所感とさせていただきます。

写真
競技中(TCCC第一線救護)

 

月例観閲行進訓練所感

上松 学生

三国志によると、建安5年(西暦200年)呉の皇帝孫権は軍の統廃合を考えていたところ、呂蒙は、自らが指揮する兵に赤い服装を身につけさせ観兵式(自衛隊の観閲式)に臨みました。
すると孫権は、呂蒙の軍団の見事さと、よく訓練がされていることに喜び、呂蒙の軍団の兵士を増やしたという逸話があります。それほど観閲式には人の心を打つ力があるのです。
防衛大学校では、令和6年5月15日に東良子訓練部長を観閲官として、第1回月例観閲式訓練を行いました。今回1学年約500名を迎え、編成を新たにした観閲部隊は、動作や斉一性といった技術的な面ではぎこちなさを残しながらも、力強く威容を放ち、整斉とした観閲行進を披露することができました。
私は、令和6年度学生隊パレード責任者として、特に「斉一性」に着意して、統制美を感じられる観閲行進を実施できるよう練成に励んでいきたいと考えています。
防衛大学校の観閲式は、家族や関係者の方々だけでなく多くの一般の方々からも注目を集める場です。そのような晴れ舞台で、学生隊が十分に威容を発揮し、多くの人々の心を打つような観閲式ができるよう、不断の練成を実施するとともに、責任者として全力で指導に当たっていく所存です。

月例観閲行進訓練の様子
学生隊本部として観閲式に参加

山岳部「山岳部は難しい」

光武 学生

第69期山岳部主将の光武学生です。防衛大学校山岳部は毎年12月後半~1月序盤にかけての冬期休暇にその年の最終目標となる山を設定し、その山に向けて、日々訓練を積み重ねています。ちなみに今年度の目標は冬季槍ヶ岳の登頂です。どんな山だろうと疑問に思った方はぜひ調べてみて下さい。3000m級の山々に囲まれた雄大な姿を見ることができると思います。
山岳部と他の部とでは決定的に異なることがあります。それは一歩間違えると簡単に人の命が失われてしまうということです。山における活動には滑落、遭難、落石、獣害など多くの危険が内包されています。そのような危険な活動をするにあたって隊を適切に指揮し安全登山を目指して運営するのがリーダーです。一般的な登山同好会や山岳会では経験豊富かつ優秀な歴戦の猛者のような人材が長期にわたりリーダーとしての役割を務めていますが大学山岳部ではそうはいきません。なぜなら大学山岳部では4年をサイクルに在籍している人材が一新されるためです。命の危険が伴う活動をするにあたっては安全登山のために盤石の体制を築きたい一方でどうしても人材の入れ替わりが激しく毎年体制が変化するというドグマを抱えている点が大学山岳部運営の難しいところです。
そのような中でも防衛大学校山岳部では安全な登山を追求し且つ山に対する挑戦の精神も忘れずに日々活動に励んでいます。最近では公式Instagramも始めたので私たちがどんな活動をしているの興味を持った方はぜひみてください!

剱岳にて
冬季谷川岳にて

短艇委員会「自己修養」

高橋 学生

69期短艇委員会主将の高橋学生です。短艇委員会は、毎年6月に行われる全日本カッター競技大会で優勝することを目標に日々自分の限界に挑戦しながら練習に励んでおります。先日の6月3日に行われた、全日本カッター競技大会では2位という結果に終わってしまいましたが、この無念は70期が晴らしてくれることと信じております。
私が短艇委員会で3年間過ごして感じたことは、防大で最も「自分の弱さと戦い続ける」校友会であるということです。
1学年時には単純な体力や技術がなく厳しい練習に必死についていかなければならず誰しも一度はやめたいと考えたことがあるのではないかと思います。しかし、そこでぐっと踏ん張り耐えることができるか、自分自身が試されます。
2学年時には下の学年ができ1学年時のようにがむしゃらにしとけばいいが通用しなくなっていきます。短艇委員会の一員であることに誇りとプライドをもって自分自身に鞭を打ち続けられなければならず、部員の選択肢にあきらめるという5文字は存在しません。「やるしかない」のです。
政権時には2年間で培ってきたことを1年間で下の代に伝えきらなければなりません。説得力というものは言葉だけでは不十分で、行動が伴って初めてついてきます。少しでも政権のうち一人でも妥協する姿を見せたりしたら短艇委員会という組織の強さは伝わらなくなります。自分の弱さを認識しそれに勝ち続けるのを見せることが政権学生の宿命なのです。
70期政権でも短艇委員会の強さを追求し続け、全日本王座の奪還を果たしてほしいと考えています。