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小児科ブログ 月別アーカイブ

2024/06/19

令和5年(2023年)舞鶴医療センター小児科業績

令和5年(2023年)の業績は以下のようになっています。
少ない 悲しくなるほどすくない
もっともっと学術面も頑張ろう!
原著
1. Okamoto K, Imamura T, Tanaka S, Urata T, Yoshida H, Shiba N, Iehara T. The Nup98::Nsd1 fusion gene induces CD123 expression in 32D cells. Int J Hematol. 118(2):277-287, 2023
一般演題
1. 浦田貴代, 今村俊彦, 田中誠治, 岡本賢治, 末松正也, 眞弓あずさ, 吉田秀樹, 大曽根眞也, 家原知子. 急性骨髄性白血病におけるFus-Erg融合遺伝子の造腫瘍能の解析. 第126回日本小児科学会学術総会. 2023年4月14-16日; ハイブリッド開催・東京
. 鶴川 慎一郎, 松村 うつき. 離島における経口抗菌薬の適正使用についてのアンケート調査. 第45回長崎県地域医療研究会. 2023年10月14-15日; 長崎講演
1. 小松博史.COVID-19の臨床像は変化する -デルタ株 vs. オミクロン株- 舞鶴医療センター入院症例の分析.舞鶴市COVID-19診療について考える会 2023.4.27 ;舞鶴
2. 一瀬栄佑. 熱性けいれんup to date. 第34回 舞鶴医療センターオープンカンファレンス 日本医師会生涯教育認定講座. 2023年12月14日; 舞鶴



2024/06/06

NCPR講習会

NCPR(新生児蘇生法)講習会の開催報告とこれからの予定
2024年(令和6年)6月6日

【NCPR(新生児蘇生法)の概略と意義】
•   Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation(新生児蘇生法)の頭文字で、出生時に胎外呼吸循環が順調に移行できない新生児に対して行う心肺蘇生法です。
• 正期産児の約5%で陽圧換気(人工呼吸)が,2%で気管内挿管が,0.1%で胸骨圧迫やアドレナリン投与などの高度な救命処置が必要とされています。有効な蘇生処置がなされなかったら,死亡に至ったり,重篤な脳障害などの後遺症を残すこともあります。
• 1987年より新生児蘇生法普及事業を開始していた北米では、ほとんどの周産期医療関係者が新生児心肺蘇生法の実地講習会を受講し、新生児仮死の蘇生成功率は向上。その効果は小児科医の当直がいないような小規模の病院でより顕著であったと報告されている。
• 北米では分娩は全例総合病院で行われているが、わが国では全分娩の約半数は産科診療所や助産師施設で取り扱われている。新生児を取り扱うすべての医療従事者が新生児の救命処置に習熟した場合には、その効果は産科診療所や助産師施設でより顕著になると期待される。
• 日本周産期・新生児医学会が講習会等を通して普及事業を全国的に実施しており,当院でも日本周産期・新生児医学会公認の講習会を定期的に開催しています。
• 「全ての分娩に質の担保された標準的な新生児蘇生が提供される」ことを目標に分娩に関わる全ての医療者の習得を目指しています。

【開催報告:当院でのNCPR講習会】
• 当院で実施しているNCPR講習会は日本周産期・新生児医学会公認です。
• 主に新規認定取得のためのAコース(新生児蘇生法「専門」コース)、Bコース(新生児蘇生法「一次」コース)および修了認定者対象のSコース(スキルアップコース)を開催しています。
• 専門(A)コースの対象者は周産期医療機関の医師・看護師・助産師・救急救命士等であり,気管挿管、薬物投与を含めた「臨床知識編」「実技編」で構成される高度な新生児蘇生法の習得を目指します。
• 一次(B)コースは一般の医師・看護師・助産師・救急救命士・初期研修医・医学生・看護学生を対象とし,気管挿管・薬物投与を除く基本的な新生児蘇生法の習得を目指します。
●2020年度
• 2月8日(土)にAコースを開催しました[第16回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会]。
• インストラクターは当院の小児科医3人,舞鶴共済病院の小児科医1人と助産師2人が担当しました。
• 参加者は当院および近隣の分娩施設から募集し、小児科医・助産師・看護師・舞鶴市東消防署救急救命士から計7人の参加がありました。当院のの病棟看護師長にも参加していただきました。
●2020年度
• 新型コロナウイルス流行の影響により開催できませんでした。
●2021年度
• 新型コロナウイルス流行の影響により開催できませんでした。
●2022年度
• 7月18日(月・海の日)にAコースを開催しました[第17回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会]。
• インストラクターは当院の小児科医1人と看護師1人が担当しました。補助インストラクターとしてAコース修了者2人と一次(J)インストラクター4人,職種としては医師1人,看護師3人,助産師2人の計6人のサポートで開催しました。
• 参加者は当院および近隣の分娩施設から酸婦人科医・助産師・看護師計8人の参加がありました。舞鶴共済病院の病棟看護師長にも参加していただいています。
• 10月17日(月)Sコースを開催しました[第18回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会]。初めての試みとして平日夕刻からの開催でした。Aコース既受講者のスキル維持のため開催しました。
• インストラクター3人が担当し,補助インストラクターとしてAコース修了者2人と一次(J)インストラクター1人が勉強のため自主的にと参加していただきました。
• 3人の受講者があり,全員が資格更新できました。
●2023年度
• 6月24日(土)にAコースを開催しました[第19回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会]。
• 当院小児科医2人,当院看護師1人,舞鶴共済病院助産師1人がインストラクターを務め,当院小児科医1人と舞鶴共済病院助産師1人が補助インストラクターとしてサポートしていただきました。
• 舞鶴共済病院産婦人科医師2人をはじめ,久しぶりの公募であり遠くは奈良からの参加者もあり公募で14人,合計で22人の参加がありました。公募での参加が多くて,良い意味での緊張感があり,大変有意義なものとなりました。
• 8月29日(火)Bコースを開催しました[第20回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会]。
• 京都府立医科大学の医学生と看護学生を対象に一次(B)コースを学んでもらいました。
●2024年度
• 5月31日にSコースを開催しました。
2023年6月24日第19回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会


2023年8月29日第20回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会



【今後の予定】
●2024年6月16日(日)Aコースを開催予定です。



2021/11/25

紅葉狩りに行ってきました

いやはやコロナの第5波は本当に大変でした😢😢
私の夏はコロナと共に過ぎ去りました。が9月になったらあれよあれよという間にコロナの患者さんが減って行って、ちょっと気分転換にと近所に散歩がてら紅葉を見に行ってきました。

曼殊院

第6波が来るのは覚悟はしていますが、せめてお正月くらいはこのまま平穏なことを願っています。
去年は休めたのは12月31日だけだったし...



2021/03/10

eye 抱きしめられる日まで
コロナ下の新生児集中治療室 京都・舞鶴

当院NICUが毎日新聞で紹介されました。
コロナなんかに負けずに頑張っています!!



2021/03/10

令和3年度上半期輪番

令和3年度上半期の輪番病院は次のようになっています。
(案)とありますが、このままの当番となる予定です。

令和3年上半期輪番

ゴールデンウイークに3回も輪番日があります(涙)。
どうかコロナの波は来ませんように!



2021/03/10

令和2年度京都府保健医療功労者等の受賞

昨年令和2年11月に京都府保健医療功労者等(救急医療・個人部門)表彰を受けました。

京都府保健医療功労者受賞

昨年11月に京都府保健医療功労者として救急医療の個人部門で京都府知事表彰を受けることが出来ました。舞鶴医師会から推薦を頂き、受賞と相成りました。身に余る光栄で、功労というよりは今後の頑張りを期待してのものと思っております。
救急医療の分野での受賞でしたが、一般救急というよりは周産期とくに新生児の救急に関するものであります。私は舞鶴に赴任して早や14年が過ぎようとしていますが、赴任当初から京都府北部の周産期医療、取り立て新生児医療はセイフティーネットとして是非とも確立しておかないといけないと考えて頑張ってきました。時を同じくして京都府からも周産期医療の充実という政策が打ち出され、新生児搬送に特化したドクターカーも配備して頂きました。このように背景として時代の要請と合致した事が大きなバックグラウンドになっています。
そして何よりも今回の受賞は私があくまでも代表として受賞しただけの事であって、これまで京都府北部の周産期・新生児医療に関わり、充実したものにするために尽力していただいた多くの方々全員が受賞してしかるべきものであると考えております。この場を借りてその方々への感謝の気持ちを表したいと思います。
先ず第一にともすると非採算部門になりがちな小児科・NICUをずっと変わらぬ慈愛を持って支えていただいた、また現在も支えていただいている平野伸二前院長・法里(ほうり)高(たかし)現院長を始めとした歴代の病院上層部の方々に感謝いたします。私が赴任当初は小児科医は私を含め5名でした。NICUを核にもともとすそ野の広い小児医療の京都府北部での中心として発展させたいとの思いで新生児医療に取り組み、現在小児科医は7名となっております。小児科医が増えることにより新生児医療だけではなく拡充できた小児医療を質・量ともに地域的には亀岡以北の京都府のみならず福井県嶺南地方にも提供できるようになっています。まだまだな部分も多々あると感じてはいますので、これからの自身の課題として取り組んでいきたいと考えています。
そして当院に小児科医を増員して頂き、毎年多くの教室員の小児科医を派遣して頂いていますのは京都府立医科大学小児科学教室の杉本徹前教授・細井創現教授を始めとした教室員の先生方あってものと感謝の念は絶えません。当科には京都市内の病院小児科とは一線を画す大きな特徴があります。それは年齢的には生まれ落ちた時から成人してもなお、また疾患的にも身体疾患のみならず精神あるいは不登校などの社会的問題など大変多岐にわたる診療をしておりそれが若手の勉学へのモチベーションとなっているのです。教室として大変ご理解していただき、活気ある若手小児科医をどんどん派遣していただいており、当院小児科のみならず院内全体の活気にもつながっております。
若手医師だけではなく指導的立場としてお仕事をされた先生方にこそ感謝をしなければいけません。短田浩一先生、長谷川龍志先生、中谷拓也先生、森潤先生、瑞木匡先生達は自ら先頭に立ち昼夜を問わず新生児搬送に奔走していただき、良く若手をリードして頂きました。彼らこそ本当の功労者だと私は思っています。
周産期医療の片翼は小児科・新生児科、もう片翼は産科です。新生児医療へのご理解を頂きました参加の先生方の支えなくば新生児医療という飛行機は決して飛び立つことはできませんでした。取り立て舞鶴共済病院の産婦人科の先生方には丁寧な連携を取っていただきました。舞鶴共済病院の産婦人科と小児科とは常に同じ総合病院内の診療科であるという意識を持ってきましたし、これからもそうあることを決意しています。赤ちゃんにとっては小児科・新生児科の世話にならないに越したことはありませんが、私たちは赤ちゃんのセーフティーネットとなってこれからも頑張っていきます。
多くの方々に支えられての受賞、否むしろ今ご紹介させていただいた方々こそ表彰されるべき方々だと思っています。繰り返しにはなりますが、今回の受賞は私自身への発破だと思ってまた頑張ります。(小松)

PS. 実は今回の受賞で一番嬉しかったのは、妻から「報われたね」と言ってもらったことでした。単身赴任となり、当初はなかなか帰省もままならず色々と苦労を掛けた妻からそう言ってもらったことが最大の幸福です。お惚気、すみません・・・



2021/03/10

令和2年の業績

本当に久しぶりのブログの更新です。約1年間コロナ禍の渦中にいました。特に年末から約2か月間は本当に大変でした・・・
でも業績はコロナ禍のせいにしてはいけません。でも少ない! もう少し頑張らなければ!
そんな中でも英文を3編出すことができました。
瑞木匡先生、金山拓誉先生、ありがとう、そしてご苦労様です。

原著
1. Zuiki M, Naito Y, Kitamura K, Tsurukawa S, Matsumura U, Kanayama T, Komatsu H. Reduction in minute alveolar ventilation causes hypercapnia in ventilated neonates with respiratory distress. Eur J Pediatr. doi: 10.1007/s00431-020-03761-x. Epub 2020

2. Takuyo Kanayama, Toshihiko Imamura, Azusa Mayumi, Emi Soma, Kenichi Sakamoto, Fumihiko Hayakawa, Akihiko Tanizawa, Nobutaka Kiyokawa, Hajime Hosoi. Functional analysis of a novel fusion protein PAX5‑KIDINS220 identified in a pediatric Ph‑like ALL patient. Int J Hematol. 112: 714-719, 2020.

3. Yukari Sakurai, Takeo Sarashina, Naohisa Toriumi, Naoki Hatakeyama, Takuyo Kanayama, Toshihiko Imamura, Tomoo Osumi, Kentaro Ohki, Nobutaka Kiyokawa, Hiroshi Azuma. B-cell precursor–acute lymphoblastic leukemia with EBF1-PDGFRB fusion treated with hematopoietic stem cell transplantation and imatinib: A case report and literature review. J Pediatr Hematol Oncol. 43: e105-108, 2020.

Ⅳ 学会発表
B 国内学会
1. 鶴川 慎一郎, 内藤 優樹, 松村 うつき, 北村 一将, 金山 拓誉, 瑞木 匡, 小松 博史. 先天性白内障, 先天性水頭症,筋緊張低下を伴う超低出生体重児の未診断例. 第33回京滋新生児成育研究会. 2020年2月1日;京都.

2.鶴川 慎一郎, 内藤 優樹, 松村 うつき, 北村 一将, 金山 拓誉, 瑞木 匡, 小松 博史. びまん性軸索損傷後の遷延性意識障害に対しTRH-Tを投与し良好な経過を辿った一例.第123回日本小児科学会学術集会. 2020年8月21日-23日 神戸(web開催).

3. 鶴川 慎一郎,瑞木 匡. Central pontine myelinoiysis(CPM)をきたした糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の8歳女児例.第62回日本小児神経医学会学術集会.2020年8月17-20日;幕張(web開催).

4. 金山拓誉,久米里佳,松浦周,三野耕平,北村一将,瑞木匡,小松博史. 汎血球減少を契機に診断されたCombined autoimmune cytopeniaの一例. 第62回小児血液・がん学会学術集会. 2020年11月20-22日;福島(web開催).



2020/03/03

2019年業績

令和1年度(2019年) 舞鶴医療センター小児科業績

発表
1. Takuyo Kanayama, Mitsuru Miyachi, Shigeki Yagyu, Ken Kikuchi, Kunihiko Tsuchiaya, Tomoko Iehara, Hajime Hosoi. Reduced B7-H3 expression by PAX3-FOXO1 knockdown inhibits cellular motility and promotes myogenic differentiation in alveolar rhabdomyosarcoma. 第61回日本小児血液・がん学会学術集会 令和1年11月14日 於広島
2. 鶴川 慎一郎, 松村 うつき, 瑞木 匡, 小松 博史. 気管挿管直後に洞調律に回復した新生児心房粗動の1例. 第64回新生児成育医学会学術集会 2019年10月27-29日 鹿児島
3. 鶴川 慎一郎, 内藤 優樹, 松村 うつき, 北村 一将, 金山 拓誉, 瑞木 匡, 小松 博史. 先天性白内障, 先天性水頭症,筋緊張低下を伴う超低出生体重児の未診断例. 第33回京滋新生児成育研究会 2020年2月1日 京都
4. 瑞木 匡、山野 暁生、友安 千紘、小松 博史. High PEEPが解剖学的死腔量に与える影響について.第55回日本周産期新生児医学会学術集会 2019年7月13日-15日
5. 山野 暁生、瑞木 匡、友安 千紘、小松 博史. 新生児遷延性肺高血圧症におけるAVDSFの有用性.第55回日本周産期新生児医学会学術集会 2019年7月13日-15日
6. 山野 暁生、瑞木 匡、小松 博史.新生児遷延性肺高血圧症の診断におけるAVDSfの有用性.第64回新生児成育医学会学術集会 2019年10月27-29日 鹿児島
7. 松村 うつき, 鶴川 慎一郎, 瑞木 匡, 小松 博史.母体の電解質異常による偽性Bartter症候群と診断した正期産児例.第64回新生児成育医学会学術集会 2019年10月27-29日 鹿児島
8. 瑞木 匡, 鶴川 慎一郎,松村 うつき,小松 博史. NICUにおけるOxygen Saturation Index(OSI)の有用性について.第64回新生児成育医学会学術集会 2019年10月27-29日 鹿児島
9. 北村 一将, 内藤 優樹, 鶴川 慎一郎,松村 うつき, 金山 拓誉, 瑞木 匡, 小松 博史.発熱・哺乳不良を主訴とした腸重積症の4ヶ月男児例.第443回日本小児科学会京都地方会学術集会 2019年12月8日 京都
10. 内藤 優樹, 大前 禎毅, 長村 敏夫, 藤井 法子. 急性小脳失調症(ACA)の初期治療方針に関する自験例4例の検討.第61回日本小児神経学会学術集会 2019年5月31日-6月2日 名古屋
11. 小松博史.「インフルエンザ院内流行調査 第1報」 第9回北近畿感染症研究会 平成31年3月9日  福知山

講演
1. 小松博史.「乳幼児利用施設の感染症対策の実践的ポイント」 令和元年度感染症予防対策研修会(乳幼児利用施設職員対象) 令和元年11月5日 於舞鶴 中丹東保健所
2. 小松博史.「学校検尿における注意点と専門医への紹介のポイント」 令和元年度京都府医師会北部学校医研修会 令和元年12月14日 於舞鶴 舞鶴メディカルセンタ

原著
1. Hiroshi Komatsu, Takeshi Goda, Kandai Nozu. De novo X-linked Alport syndrome in a 3-year-old girl. BMJ Case Reports Jul 2019, 12 (7) e230183; DOI: 10.1136/bcr-2019-230183
2. Zuiki M, Yamano A, Kitamura K, Goda T, Oya S, Komatsu H. Ventilated Infants Have Increased Dead Space and Lower Alveolar Tidal Volumes during the Early versus Recovery Phase of Respiratory Distress. Neonatology. 2019 Dec 11:1-4.
3. Naito Y, Mori J, Tazoe J, Tomida A, Yagyu S, Nakjima H, Iehara T, Tatsuzawa K, Mukai T, Hosoi H. Pituitary apoplexy after cardiac surgery in a 14-year-old girl with Carney complex: a case report. Endocr J. 2019 Dec 25;66(12):1117-1123. Doi:
4. 瀧上絵里香, 瑞木匡, 秋岡親司, 糸井利幸, 在田貴裕, 沼沙織, 加藤則人, 細井創.アトピー性皮膚炎, 喘息発症後, 5年以上を経て診断した無症候性心筋障害合併の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の小児例.アレルギー 68(6): 696-700, 2019.
5. 松村うつき,大内一孝,瀬野真文,浅妻正道,田浦喜裕,小田部修,伊藤陽里.Lamotrigine多量内服による急性中毒として遷延する意識障害と悪性症候群が疑われた一例.京都医学会雑誌 66(2): 67-70, 2019.
6. 三野耕平,松村うつき,田中誠治,末松正也,森田高史,伊藤陽里.Respiratory syncytial virus感染が重症化した重症心身障害9歳男児例.京都医学会雑誌 66(2): 71-74, 2019.
7. 浅妻正道,大内一孝,松村うつき,田浦喜裕,森田高史,小田部修,伊藤陽里,藤田直久.SEA産生メチシリン感受性黄色ブドウ球菌によるprobable toxic shock syndromeの1例.小児感染免疫 31(3): 287-292, 2019.
8. 田中誠治,三野耕平,松村うつき,末松正也,森田高史,伊藤陽里.トリアムシノロンアセトニド製剤皮下注でアナフィラキシーを生じた通年性アレルギー性鼻炎の一例.京都医学会雑誌 66(1): 133-136, 2019.



2020/03/03

何気なくデマを拡散することがないように

ネットの世界は本当に玉石混淆です。情報に踊らされないようにしなければいけません。
特に今回のような感染症の問題では、医療従事者が発する情報は想像以上に重大な結果をもたらすことがあり得ます。
「○○病院の看護師の□●さんが、言ってたんやけど―」みたいな何の根拠もない一見たわいのない発信も、情報だけが独り歩きして、混乱をもたらします。

医療従事者である以上、情報源を確認し、しっかり判断し、それが発信された後のことまで考えて対応すべきです。

次のブログが良く書かれています。原文の一部です。
新型コロナのデマ対策で注意するべき、善意の拡散と事実化のリスク
徳力基彦 | ブロガー/noteプロデューサー

■情報を受け取ったときに持つべき4つの疑問
情報リテラシーの専門家として、インターネットメディア協会でもメディアリテラシー部門の理事をされている下村氏によると、情報を受け取ったときに持つべき4つの疑問があると言います。
1:結論を「ソクダンするな」
2:ゴッチャにして「ウのみするな」
3:一つの見方に「カタよるな」
4:スポットライトの「ナカだけ見るな」
聞くと当然だなと思う話かもしれませんが、情報が錯綜している今だからこそ、こうした原点に回帰することが大事でしょう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tokurikimotohiko/20200229-00165194/

医療従事者の皆さん。こんな時だからこそ賢明かつ懸命に行動しましょう。

2020.3.3小松



2020/02/19

ダイヤモンドプリンセス号がやばい

今回の新型コロナウイルス感染の流行に関して大変心配している部分が多い。
2009年のいわゆる新型インフルエンザに比べてもその対応のまずさは目に余るものがあります。

前回私は「正しく怖れることの難しさ」の中で理想論として一定期間隔離しておいた方が良いのでは述べました。
実際そうなったかのように見えてましたが、初日から心配していました。というのは下船は許されなかったものの船内ではパーティーなどが開かれていたとのことを知って、愕然としました。
あり得ない!!と。乗客の気持ちを慰めようとしたのでしょうが、これでは感染を拡げる場をわざわざ作っているようなものだと。

その後船内での感染は終息に向かうどころか、感染者は日増しに増えるばかりで、いったい何がどうなっているのかわからないし、感染対策は傍目に見ても全然機能していないことは明らかです。

最大の問題はダイアモンドプリンセス号での感染対策を仕切っているトップが全く見えないということであり、その人が正確な情報発信を全くしていないということです。厚生労働大臣ではなく、現場のトップがそれをしなければいけません。

そんな中ついに岩田健太郎先生が発信してくれました。
岩田健太郎先生は言わずと知れた感染対策のプロで、現場を熟知されておられる先生です。
是非岩田健太郎先生の発信を見てください。

ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。
https://www.youtube.com/watch?v=W3X3RSmf7ds



2020/02/05

「正しく怖れる」ことの難しさ

新型コロナウイルス感染症を考えるポイント

中国武漢市発の新型コロナウイルス感染症が頻繁に報道されています。正直医師から見ればどうでもいいようなことが不安を煽る画像やバックグラウンドミュージックと共に報道され続けています。ニュースの最後には「むやみに恐れる必要はありません。正しく恐れましょう。」と言う一言が決まり文句になっています。
しかし考えてみれば「正しく怖れる」とはどういうことでしょう?少し脱線しますが、「正しく恐れる」というフレーズはそもそも誰が言い始めたのだろうかと気になって調べてみました。出典は寺田寅彦が昭和10年に執筆した「小爆発二件」と題する随筆(岩波文庫の「寺田寅彦随筆集 第五巻」所収)でした。これは浅間山の爆発に関する記述の中で「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。」とあるのが出典のようです。寺田寅彦は私と同じ高知県の出身で、しかも母と同じ高知県尋常中学校(現・高知県立高知追手前高等学校)の卒業生でもあります。「天災は忘れたころにやってくる」というのも寺田寅彦の言葉とされています。また『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八のモデルとも言われています。私も中学校の頃寺田寅彦のことを学んだ記憶がありますが、もう残念ながら忘却の彼方となってしまいました。文脈からは「正しく怖れ」ないといけないと言っているのではなく、「正当にこわがる」ことの難しさを言っているように読めます。また「正しく」と「正当に」とはややベクトルが異なっているように思われます。つまり「正しく怖れる」というと「そんなにむやみに怖れることはない」と言っているようで、「正当にこわがる」というと「甘く見てはいけません」と言っているように思います。しかし言葉と言うのは時代とともに変化していくものであってそれはそれで良いのかも知れません。これは個人的な見解かも知れないのですが、目に見えないもの、例えば今回のウイルスや放射線などは不安や恐怖を煽ることになり、目に見えるものは甘く見がちになるような気もします。
どちらにせよ危険性(リスク)を正確に評価して、それに合致するように「怖れ」ることが重要だと思います。それには漠然としたリスクではなく、評価できる具体的なリスク項目に分けて考えること、そしてそのリスクはゼロかイチかではなく層別化して評価しなければいけないと考えます。

感染症は、三つの要素によって成り立っています。それは病原微生物、宿主、そして感染経路です。例えば病原微生物の特性に絡んでよく出てくるのは基本再生産数(R0:アールノート、一人に患者さんが何人にうつすかという数字)や致死率などです。今回の新型コロナウイルスのR0は2~3とされていますが、実はこれはどんな状況でも同じものではなくて現在の武漢市を中心にした中国ではこの数字であるということです。わかりやすく言うと多くの人が密集する例えば満員電車の車内とか集会ではそうかもしれないけれど、接触レベルの高くない環境ではもっともっと低いかも知れないわけです。致死率は今の所2~3%とされていますが、これも今は分母になっている感染者数が重症者や入院者しか検査していないからだと思われます。軽症者も調べるようになると分母が大きくなってくると当然致死率は下がっていきます。またこれは宿主(言い方がきついですが要するにヒト)のもともとからの健康状態や基礎疾患の有無にも影響されます。同じような現象は実は2009年に流行した「新型」インフルエンザの時にも見られました。簡易検査キットが普及し、医療アクセスの非常に良い日本では検査を受けて陽性となった人数が非常に多く、結果として他国に比べて致死率が低かったわけです。日本のインフルエンザ診療が優れていたためだと諸手をあげて喜ぶのは安易過ぎます。数字のマジックですね。
宿主であるヒトのリスク評価も考えてみましょう。もちろん健康状態や基礎疾患の有無は大事な評価項目です。今現在わかっていることは高齢者や基礎疾患を持っている人は重症化しやすいということですが、これってインフルエンザも同じですね。一部では子どもはかかりにくいとか重症化しにくいとか言われていますが、ただこれも今後患者数が増えてくると変わってくる可能性があります。そしてもうひとつわかりにくいのが「濃厚接触者」ということです。「濃厚接触者」には定義というものがありません。個別に判断していくしかないのがわかりにくくしている原因です。報道などでは「濃厚接触」とかいう言葉がよく使われていますが、イメージとしては何となく理解できてもじゃあ説明してとなると難しいのです。感染対策の場では、一人一人の状況を分析して、例えばマスクをして対応していたのかとか、密室であったかとか、部屋の広さは?とか、どれくらいの時間接触していたか?とかいちいち評価して決めます。しかも「濃厚接触者」と「それ以外」というのではなく、同心円状に接触密度を層別化して対策を立てるのです。
感染経路は飛沫感染とされています。2m以上離れていれば飛沫がかかることがないので感染リスクは低いのですが、問題は間接的な接触感染です。つまり感染者が咳をしたりくしゃみをしたりしてその飛沫が手に付き、その手で物を触ってウイルスが付着し、その物を触れた手で鼻や口の周りを触ることによって感染が伝播するものです。ちょっと意識してもらったらわかりますが、人間は気が付かないうちに結構頻回に顔周辺に手をもって行っています。だからこそ手洗いが感染予防のために重要なのです。またマスクをすると顔に手をもっていく頻度が減るのでそういう意味ではマスクも有用です。
マスクは以前に述べましたが、要は適切に使うことが大事です。報道などでは検疫に当たる人がよくN95マスクをしている様子が流れたりしますが、N95マスクは飛沫感染対策ではなく空気感染対策用です。つまり今回の新型コロナウイルス感染症にはN95マスクは過剰とも考えられます。2009年の新型インフルエンザの時も当初はN95マスク対応で防護具に身を包んでいました。なぜそうするのでしょう?一つは当初は感染経路が特定できないからです。飛沫感染と決めつけていると実は空気感染もすると後でわかってもそれでは後の祭りですから。もう一つはもちろん自分の身を守るためですが、実はこれは自分が感染源にならないためにするのです。感染を制御する側が感染を拡げる側になってしまっては洒落にならないからです。飛沫感染対策にはサージカルマスクでOKです。
それにしてもほんとに過剰なマスク熱ですね。
感染対策は一つのことだけで成り立っているわけではありません。手洗いもそうマスクもそうです。マスクを求めて大勢の行列が並んでいる薬局に行くとか何軒も薬局などを渡り歩く、マスクはしないけれど不要不急の外出はしない、どちらのリスクが高いのでしょうか。
最後に検査のことについて話してみたいと思います。現在新型コロナウイルスの検出はRT-PCR法で行われています。インフルエンザなどで用いられている抗原抗体反応を用いた迅速検査よりもかなり感度・特異度は高いと思われます。つまり感染者と非感染者をきちんと分けることができ、かつ誤診の確率は低いと考えてよいと思います。
今回最も違和感を感じたのは無症状の方を検査してしまったことです。RT-PCR法とは言っても陰性だから感染していないというお墨付きを与えたことにはならないという大原則を破ってしまったわけです。チャーター機による帰国者にせよクルーズ船の乗員乗客にせよ全員検査せよと考える向きがあったのは残念です。ましてや検査を受けなかった人を糾弾するような発言はすべきではありません。無症状の人に対してするべきことは、検査の結果に関わらず健康監視をすることと万一発症した場合のことを考えて可能な範囲で感染を拡げない工夫を一定期間、つまり潜伏期間の間はするように勧奨することです。これは検査結果が陰性であっても変わらないことです。クルーズ船の乗客への電話インタビューの中である人が「なんなら潜伏期間の間船に閉じ込めてもらっても構わない」と言っておられましたが、本当はそれが理想なんだと思います。この手の検査は陽性か陰性かで結果がわかり、陽性ならウイルスがいる陰性ならウイルスはいないという表現をするものですから誤解を招きます。検出限界というものがあり、ウイルスがいても一定の濃度以下であれば陰性と判断されますし、また大きな要素として検体の質(取り方と言った方がわかりやすいかもしれません)というものにも大きく影響されます。検査が陰性なら無罪放免とすることが感染対策上最大の失敗を招くのですから、無症状者は検査してはいけないのです。これはインフルエンザやノロウイルス胃腸炎の治癒の証明に検査を要求することには意味がないばかりか感染対策上決定的な過ちを犯しているのと同じです。

川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦先生のインタビューが載っていますので、是非読んでみてください。
岡部先生インタビュー
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/ncov2019-okabe?sub=0_124045626
最後に東日本大震災の時も今回以上にそうでしたが、報道が無秩序に流されっぱなしです。良いことも悪いことも、有用なことも害になることも、不安を煽ることも冷静な判断を促すことも、まさに玉石混淆です。情報が取捨選択されずに洪水のごとく流されてくる現代では、情報を受け取る側の私たちが賢明にならなければいけないと痛感します。

2020年2月5日 小松



2019/11/07

令和元年度後半期救急医療

遅くなりましたが、令和元年度後半期の舞鶴市の救急輪番をuploadします。
当院は令和初の正月がかなり大変そうです。
どうかインフルエンザや腸炎は流行りませんように!!





2019/07/31

夏なのに

夏なのに~♬ って歌っている場合ではなくて、舞鶴ではRSウイルスが流行っています。
皆さんご存知のようにRSウイルスは冬場に流行る有名な感染症なんですが、どうも昨年ぐらいからおかしなことになっています。

確かに以前から8月位に小流行があるのは知られていましたが、昨年なんかは5月から8月にかけて流行し、その後冬場はちょこちょこってあったくらいで、今年は4月位から流行しています。
RSウイルスはもはや夏の感染症になったんでしょうか?

しかも罹患する年齢層が変な感じなんです。普通RSウイルスは乳児期早期にかかると重症化しやすいんですが、今は乳児期早期の患者さんがあまりいないというか軽症なので検査していないのかも知れませんが。
1歳前後の子が結構しんどくなって、最近でも2人位nasal high flowで何とか乗り切りました。

小さなお子さんがおられる方、ご注意を




2019/07/31

平成最後の年から令和元年上半期当科の業績

最近の当科の業績です。
大学病院小児科であったり、都市部の大きな小児科ではないので、大きな研究や論文が出せるわけではないですが、一つ一つの臨床経験を大切にし、自身が成長していくためには論文を書くのは非常に大切なことと考えています。
若手も専門医の取得に向けて、頑張って論文を書いています。
平成最後の年から令和元年上半期の当科の業績を紹介します。
英文が2編あります。
英語論文は正直なかなか大変です。しかし読者は世界に広がります。若手にもできるだけ英文で書くように話しています。

青井輝希, 瑞木匡, 大矢暁, 友安千紘, 小松博史
新生児の呼吸不全におけるend-tidal alveolar dead space fractionの診断的有用性
日本周産期・新生児医学会雑誌 2019; 55(1): 104-107

Takeshi Goda, Hiroshi Komatsu, Kandai Nozu, Hisakazu Nakajima
A pediatric case of hypomagnesemia 1 (HOMG1) caused by novel compound heterozygous mutations in TRPM6
Human Genome Variation 6, Article number: 13 (2019)

Hiroshi Komatsu, Takeshi Goda, Kandai Nozu.
De novo X-linked Alport syndrome in a 3-year-old girl .
BMJ Case Reports CP 2019;12:e230183. : http://casereports.bmj.com/cgi/content/full/12/7/e230183

英文2編は、神戸大学小児科の野津寛大先生に大変お世話になりました。
この場を借りて、野津寛大先生と遺伝子解析をお世話になった教室の先生方に感謝の意を表します。
ありがとうございました。




2019/07/31

シリーズでお送りする舞鶴小児科 NEW ARRIVAL 第7回

「シリーズでお送りする舞鶴小児科 NEW ARRIVAL」も第7回を数えるに至りました。
今回は北近畿では唯一日本小児がん研究グループ加盟施設である当院小児科の白血病治療のお話です。
だいたい年に1人から2人の新規発症の小児白血病の子を治療しています。
最近では水泳の池江璃花子選手が闘病していますが、当科に同じ病気で入院している子たちにとっても元気の源になっているようです。

 


北の砦と呼ばれて、たくさんの仕事を担っている当科ですが、さすがにちょっとネタ切れ気味です。
このシリーズはとりあえず今回で終わりにしようと思っています。
でも、当科でしかできないこともいっぱいやっているので、また報告します。

再来!




2019/05/30

舞鶴小児科NEW ARRIVALも第6回となりました

今回は食物アレルギーの話題です。
今はこの食物アレルギーの子が多くて悩んでいます。
同時に食事制限があまりにも安易にかけられていて、本当は全然問題なく食べられるのに制限されていて、そのうち本人もどうやら本当に「食わず嫌い」に陥ってしまっている子もいて、悲しい思いをします。



 




2019/03/07

2019年4-9月舞鶴市救急輪番

2019年4月から9月の舞鶴市救急輪番をアップします。





2019/02/12

医療連携フォーラム

医療センター小児科の合田です!

今回は番外編として、先日当院で行った「医療連携フォーラム」のスライドをアップします(^-^)/
エピペンの実演(?)では、その衝撃音に会場からどよめきが起こりましたね!笑
来ていただいた先生方、ありがとうございました!

前後半にわけてアップしようと思います( ̄^ ̄)ゞ





2019/01/31

シリーズでお送りする舞鶴小児科 NEW ARRIVAL 第5回

今回は、瑞木匡(ずいきまさし)先生に登場してもらいました。
プレネイタル・ビジットの話です。周産期医療に携わっている人達にはすでにおなじみの言葉かもしれません。
プレ=前、ネイタル=出生の、ビジット=訪問、つまり生まれる前に訪問する、という意味です。

日本では、ともすると「人と違う」というのはネガティブな意味合いでとらえられる傾向が強いようですが、一度その意味を考える機会を持てると良いですね。

では、ご一読ください。



 




2018/11/15

舞鶴共済病院増田淳司先生が母子保健奨励賞・毎日新聞社章を受章されました

鶴共済病院の小児科医 増田淳司先生が2018年度の「母子保健奨励賞」および「毎日新聞社賞」を受賞されました。 この度大変喜ばしいことを報告させていただきます。 舞鶴共済病院の小児科医増田淳司先生が2018年度の「母子保健奨励賞」および「毎日新聞社賞」を受賞されました。
母子保健奨励賞は昭和54年の国際児童年を記念して創設され、毎年11月に表彰式が行われています。同賞は母子保健の発展と向上に尽力している現役の個人を表彰するものであり、対象は地域に密着した母子保健活動を5年以上行っていて、他の模範となる存在で今後の活躍が期待される人で、職種としては保健師、助産師、看護師、医師、歯科医師、栄養士、歯科衛生士、保育士、母子保健推進員など母子保健に携わる人があげられます。
「母子保健奨励賞」を紹介するホームページが、母子衛生研究会と母子保健功労顕彰会のそれぞれのホームページに開設されています。このホームページでは受賞理由についても紹介されています。
昨日増田淳司先生から電話で、東宮御所に参内して皇太子殿下から直々にお祝いと激励のお言葉をいただいた様子を伺いました。本日は表彰式に臨まれるそうです。



 


増田淳司先生は、京都府立医科大学小児科の同門として私たちとともに京都府、取り立て京都府北部や舞鶴市で長年にわたって小児医療や新生児医療に尽力されて来られました。彼なくして今の舞鶴や京都府北部地域の小児医療や新生児医療はなかったと言っても過言ではありません。また、母子保健、特に母乳育児に関しては、自らライフワークと位置付けて頑張ってこられています。
これらの分野における彼の業績を考えると、当然の受賞とも思うのですが、彼自身は「奨励賞」と捉えていて、これからも一層頑張っていくとのことでした。 これまでの増田淳司先生の尽力に感謝し、また今後の活躍を期待しつつ、京都府北部で働く同門を代表し、ここに顕彰したいと思います。

2018年11月15日
後日また当日の様子などを報告します。



2018/10/26

今度こそ日本一だ! カープ頑張れ!

明日からいよいよ日本シリーズが開幕します。

実は私小松は筋金入りのカープファンです。もう50年以上になります。 こんな話をして知っている人は、それなりの年齢になっていると思いますが、かの巨人全盛期、長嶋・王のONが活躍している頃、V9の頃からのファンなんです。

今はカープ女子とか言うようですが、私は生粋のカープ男子ですね。というか、「カープおじさん」ですかね・・

去年は悔しい思いをしましたからね。CSなんて止めちまえ!

今年こそは待ちに待った日本一に!!



 




2018/10/26

シリーズでお送りする舞鶴小児科 NEW ARRIVAL 第4回

今回は、小児の腎臓病の話です。
腎臓専門医として是非話しておきたいことをまとめてみました。
実は腎臓専門医は、亀岡以北では非常に少なくて、特に小児科専門医で腎臓専門医となると私一人という状況です。
内科医でも同じような状況で、寂しい限りです。

頑張って、後進を育てないといけないと考えている昨今です。



 


小児科専門医・指導医 
腎臓専門医
小松博史



2018/10/18

久しぶりに英語論文書きました

久しぶりに英語論文を書いてみました

論文といっても、Case reportですが・・・。それでもやはりベッドサイドの臨床や口頭だけで消えて行ってしまう学会発表とはずいぶん違います。理論立てて文章にしていかなければいけないのでしっかり勉強しなくてはいけません。単に論文を読んで頭の中で理解した(つもりになっている?)こととは違ってきます。そして最も大きなことは、後世まで残っていくということですね。特に英文で書くと対象は一気に全世界に広がるわけで、可能な限り英文で書きたいものです。

最近はCase reportが軽んじられる傾向があると感じてしまいますが、自分の経験した症例を一つ一つ大事にしていくことが大事と思っています。Case reportが軽んじられる傾向にあるのはその重要性が薄れているわけではなくて、インパクトファクターが全てという考え方によるものです。つまりCase reportを載せると引用回数がどうしてもreviewや大規模研究などに比べると減りインパクトファクターが低くなるため、有名雑誌ではCase reportを避ける傾向が出てきてしまっています。

今は大変優れた書籍なり文献なりが本当に多く出されていて、しかもそれに対するアクセスも良くなって、昔自分たちがやっていたように一つ一つ検索しては論文を読み、またその論文で引用された論文を読んで勉強するということが少なくなっているのではないかと、若手を見て感じています。”Up-To-Date”なる便利ツールもよく利用されているようです。ちょっとわからないことがあるとスマホでちょっちょって調べることができるので重宝しているようです。ですが、私は常から”Up-To-Date”を越えろと言っています。本当に自分の糧となるのは”Up-To-Date”ではなく、目の前の症例ですから。”Up-To-Date”に書かれてあることが全て正しいわけでもないですしね。

今回私が発表した論文は以下のものです。もし興味がありましたらご一読ください。
Title : Imaging of bilateral Ask-Upmark kidney
Journal : Clinical and Experimental Nephrology, (), 1-2
DOI :10.1007/s10157-018-1563-5
The article is available as 'Online First':
http://link.springer.com/article/10.1007/s10157-018-1563-5



今回の投稿で勉強したことが一つあります。以前は雑誌の購読者が購読料金を払っていたものが、最近は投稿者が掲載料金を払うようになっているんだなということです。確かにこれだけインターネットが普及し、文献へのアクセスが容易になるとわざわざ購読料を払って雑誌を購読する人は少なくなっているのかもしれません。学会のバックボーンのある雑誌なら学会員が会費として払っているでしょうが、そうでないような雑誌では購読料で出版するというあり方は難しいのかもしれません。そんな中、「プレデタージャーナル(predetory journal)」なる雑誌が問題視されているようです。”predatory”、意味は捕らえて食らう、アーノルド・シュワルツェネッガー主演プレデターのプレデターですね。恐ろしい。


最近ひそかに創刊ラッシュな科学系学術論文雑誌のうち、お金さえ払えば掲載させてくれる雑誌で、「うちに投稿しませんか?」メールを送りつけてきて、うっかり「Yes」と答えると、とんとん拍子で掲載が決まり、invited articleかなって思っていると結構な掲載料を取られるものです。確かに今回の論文の掲載が決まるや否や山ほどのプレデターメールが来るようになりました。全部が全部プレデターとは言いませんが気を付けねば。
(小松)



2018/09/30

新生児蘇生法インストラクター養成講習会を受けてきました!!

2018/09/30 新生児蘇生法インストラクター養成講習会を受けてきました!!
去る9月9日に東京で新生児蘇生法インストラクター養成講習会を受けてきました!
私小松の年代では、新生児蘇生法を教えてもらった記憶はなく、先輩のやり方とか見たり、独学で勉強したりしたものですが、最近はやはり教育という考え方が進歩していますね。
立場上ということもあるんですが、やっぱり自己流ではいかんだろうということで、受講しました。
トップが、自己流でいいんだでは、若いもんがかわいそうですしね。

でも、この手の講習会は、この年齢になると疲れます・・・
半日間の体と頭を動かしての実習ですから。
これってもしかしてボケ防止になるかな

てなわけで、つい先日無事「合格通知」も来て、申請もしました。

それにしても、一つ感心したのは、助産師さんの受講が多かったことです。
やっぱり都市部は一歩以上先を行ってますね。
新生児のしっかりとした蘇生は、周産期死亡の減少や新生児の後遺症の減少に直結します。
行政の方も、ハード的なものだけではなくて、こうした取り組みにも目を向けてほしいものだとつくづく思います。
(小松)




2018/09/30

平成30年度京都府立医科大学地域医療教育推進事業を行いました

京都府立医科大学の地域医療教育推進事業(通称:現代GP 〔Good practice〕)を9月3日(月)から7日(金)に行いました。この事業は平成18年から行われているもので、いろいろ問題点が浮き彫りになっている地方での医療について医学生のうちから勉強し、将来の進路を考える一助としてもらおうということで行われています。今年は医学生5回生20名と看護学生3回生5名の計25名を受け入れました。去年は女性が圧倒的に多かったのですが、今年は男性優位でした。みんなで舞鶴Tシャツを作って来てくれました。



なんでも院長は後日このTシャツを学生から購入したそうです。 「地域医療を学ばせるためにはどうすれば良いのか?」というのが私たち受け入れ側に与えられた命題です。地域医療とはその土地その土地で、地域の特性に合わせ、医療の需要と供給に合わせて成り立っている医療と言えます。と言えば分かったような気にもなるのですがかなり抽象的ですね。実感するには具体性がないといけないわけですから、本当に毎年頭を悩ませます。しかもそのために与えられた時間は実質わずかに4日だけなのですから。この事業の運営に関わってもう数年が経ちましたが、未だに解決できていません。そしてどうも学生さんたちにとっては「地域医療」というのは、「地方での医療」、つまり「いろんな意味で不自由で先端医療ではない医療」というイメージがあるようです。ここん所は大学で予め十分にレクチャーしておいてほしいところだなと思います。 そんな中で、重視するのは実習前の仕込みです。つまりどういう意識を持って実習に臨むかということです。そのために初日の午後には特に重みを持たせています。今年のメインテーマは「健康寿命を延ばす」としました。そういう観点から実習に臨み、それぞれの場でどのような事が行われているかを学んで欲しい、そのために仕込みを入れるのです。しかしいきなり躓きました。台風21号ですね。実習初日の火曜日にやってきました。でもなんだか拍子抜けするほどでしたね。警報が発表されたので、中丹東保健所と舞鶴市による「あそびあむ」での懇談会中心の実習が中止となりました。これが最大の躓きでしたね。やっぱり鉄は熱いうちに打たないと冷めてしまいますから。止むを得ず、ホテル内での実習とし、午後は、感染管理の井上かおり師長による吐物処理の実習と皮膚排泄ケアの湯室順子さんによるテープの止め方剥がし方の講習と楽しい実習をしていただきました。臨機応変な対応、流石ですね。





3日目は、ラポールでの健康フェアを行いました。いつもは看護フェアとして行われることが多く、当然ながらその時の担当は看護師ですので、去年の反省も踏まえて、今年は担当が多くは医師の卵で地域医療を勉強しに来ているのだということを前面に押し出したかったのですが、私的にはやや不満が残りました。これは私の反省です。来場者にもっとわかりやすくする仕掛けが必要でしたね。





夕刻からは今回のメインイベントである多々見良三市長との懇談がありました。これも私的には満足いくものではありませんでした。仕込みとして健康フェアの中で住民アンケートをし、その中に現在の舞鶴の医療事情をどう思うかについての項目があって、それをまとめて市長との懇談のネタにしようと画策していたのですが、舞鶴の医療事情についての項目までまとめ切れませんでしたので、内容を掘り下げることができませんでした。ちなみに舞鶴市の公式Facebookにちょっとだけ載ってます。アドレスはこちら。
https://www.facebook.com/city.maizuru.kyoto
木曜の夜は、恒例の懇親会をふるるファームで行いました。「万願寺釣り」もみんなで楽しみました!社長の秋安俊豪さん、いつも有難うございます。一番たくさん釣ったのは感染管理井上師長で確か15匹(?)の釣果でした。



当院でのこの研修のもう一つの目玉は、出張健康講座を講師と学生とが一緒になって企画し開催するというものです。印象的だったのは地域医療連携係長の土田恵子さんが担当した「かしこい病院のかかり方」での一コマです。学生さんたちが分担しながら非常に上手く住民さんの意見とか体験とかを引き出していました。
本当に地域のいろんな施設のたくさんの方々にお世話になっています。アザレア舞鶴さんでは、「今年の学生はすごく反応が良かったので嬉しかった」とのお言葉をいただきました。このような言葉は私たち運営側としてもうれしいばかりです。また頑張れそうです。そして岡田保育園の皆さん、いつもお世話になっています。みんなに童心が帰ってきています。



金曜の午前にはまとめの各班の発表を例年通り行いました。毎年思うのですがこれが結構学生さんには難しいようですね。やはり学年によって色々カラーがありますね。
それでもこういう事象は全ては指導する側の問題なんでしょうね。これがあるから次もこの地域医療教育推進事業をやろうというモチベーションになります。学生さん達に「勉強になりました」と言わさないと気が済まないのです。
新たな試みとして舞鶴市の健康作りの一環としての、ウォーキングラリーもしました。初日から付けていたスマートウォッチで5日間の歩数を競ったものです。初めての取り組みでなかなか興味深かったです。



この5日間が終わると精魂尽き果てます。でもこのような縁をきっかけに舞鶴で働いてくれる若手医師が増えれば、望外の喜びです。今年は一昨年の現代GPで舞鶴に来ていた二人が、京都府立医科大学とのたすき掛けで今当院に研修に来てくれています。頑張った甲斐があった!



2018/08/07

シリーズでお送りする舞鶴小児科 NEW ARRIVAL 第3回

今回はNOの話です。NOって何かって?それは本文をお楽しみに。



 


どうです?可愛い子でしょう!
頑張って治療した子の成長した姿を見られるのが最高の喜びです。



2018/08/01

夜尿症の話

何を隠そう私自身も夜尿症経験組なのです。確か小学校6年生の夏休み位まではおねしょをしていた記憶があります。私は高知県の出身で、父親が銀行員だったので、小学校4年生からは室戸に住んでいました。室戸ってわかります?高知県は北に弧を描いた形をしていますが、その東の岬を室戸岬と言います。そこの所の街です。小学校の5年生位から大学に行きたくて(当時は工学系の研究をしたくて、プラモデルが大好きで)何とか進学校(中学校)に進みたかったのですが、室戸の中学校では学力的に大学進学は難しいだろうという事で、高知市内の進学校を目指して勉強していました。当時室戸と高知市はバスで約3時間くらいの道のりでしたから、進学のための塾に行くと言ってもせいぜい夏期講習とかに1週間程度泊りがけで行くことが精一杯でした。夏期講習と言ってもイメージ的には勉強合宿です。県内から集まった小学校6年生が広間で寝起きして、昼間は勉強するというやつです。何とか目指す中学校に合格したかったので、小学校6年生の夏休みに夏期講習に行こうというわけですが、ご多分に漏れず心配なのは「おねしょ」です。家ではあんまりしていた記憶がないのですが、もしかしたら母親に夜に一回起こされていたのかも知れませんが、肝心な時に限ってというやつです。夏期講習の泊りの間に2、3日連続で結構盛大に漏らしてしまった記憶があります。どうやって処理したのかまでは思い出せません。もしかするとション便臭いままの下着を付けていたような記憶もありますから、恥ずかしくて言い出すこともできないまま内に秘めて(でもきっと周囲からは白い目で見られてたんでしょうね)ごまかしてたような気もします。こういうのは結構トラウマです。今でも場面場面がいくつか映像として脳裏に甦りますから。最近の研究によるとおねしょのトラウマは、いじめのトラウマよりも強いそうです。



ちょっと前までは夜尿症というのは一般的には医療の対象ではなかったような気がします。今でも夜尿症を早く治す方法とか薬があると言うことはもしかすると広く認知されてないかも知れません。私たちは以前から夜尿症の診療に対して積極的に取り組むようにしてきました。夜尿症の診療はやり始めると結構いろいろな発見があります。生活指導を2~3回するだけで治ってしまう子もいれば頑張っているのに難治である子もいます。おねしょしても一向に気にするそぶりもなく悪びれる様子もないように見えていた子が実は内心すごく気にしていて気にしているという事を悟られないようにふるまっていたことがわかったり。色んなケースがありますが、夜尿症の診療を続けて来てはっきり実感するのは最近の治療法の進歩もあって、治るのを明らかに早くすることができるようになったことです。



人間って、排泄することは基本的に隠したがる動物であることがよくわかります。ですから排泄にまつわる問題と言うのは出来るだけ表面化させたくないのではないかと思います。大人になってもそういう側面があるように感じますので、子ども達にとってはなおさらではないでしょうか。ですから、小児科医として、排泄の問題を抱えているという事を話してくれるのに出来るだけ抵抗が少ないようになれば一人前かなあなどと考えて頑張っています。(小松)



2018/07/04

「うがい」「嗽」「鵜飼」

“うがい“ってどうなの?

皆さん、“うがい“ってします?残念ながら私はうがいをする習慣がありません。最近、特に若い人達の間では、うがいをすることが減っているような気もします。一昔前は病院の診察室とか医局の手洗いにはうがい液(だいたいはイソジン!)が置いてあって、時々うがいをする医師や看護師を見かけたものですが、今はほとんど見かけないようになりました。やはり人前でうがいするというのはマナーとかエチケット上あまりよろしくないという風に考えられるようになってきたためでしょうか。スターウォーズのチューバッカの声を真似するにはうがいをするように真似するとよく似るとかいうことも聞きます。「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」でチューバッカ(ヨーナス・スオタモ)と共演したエミリア・クラークのチューバッカの声真似がうがいにしか聞こえないとか話題になっていました。



実はうがいをする習慣というのは日本特有のものなんですね。漢字では「嗽」と書きます。まあエチケットだとかチューバッカとかの話聞くと欧米ではやらないだろうなと思います。
Wikipediaによると、『「うがい」の語源は、鵜飼であり、鵜に魚を飲み込ませ、その後吐き出させる様子が似ていることから、「うがい」と呼ばれるようになった。1444年(文安元年)に成立した国語辞典『下学集』には「鵜飼嗽也」とある。うがいは、日本では古くは平安時代から行われてきたとされている。』とあります。また大日本住友製薬の健康常備学vol.77にも同じような記述が見られます。私的にはWikipediaに限らずインターネットの情報は必ず吟味するようにしているのですが、今回はこれがなかなか難しかったんです。誰かご存知なら教えてください。
さて本論ですが、うがいって風邪やインフルエンザの予防に効果はあるんでしょうか?私も、たぶん皆さんも、小さい頃は、「外から帰ったら手洗って、うがいしなさい」とよく言われたのではないでしょうか。正直、今でも外来の時とかに子供達に言っています。しかし翻って自分がうがいしているかと考えてみるとしてないんですね。ですから責任上、うがいが風邪やインフルエンザの予防に本当に効果があるかどうかは検証しないといけないと考えました。
2000年以降医学的根拠のレベルの高いいくつかの論文が発表されています。Satomuraらは2005年にランダム化比較試験の結果、水でのうがいが、うがいをしないグループやポビドン・ヨードでのうがいのグループに比べても有意に上気道感染を減らすことを報告しています。この論文はいろいろな所で引用されており、先駆的な研究です。それによると18歳から65歳の健康なボランティアをランダムに3群(特に介入しない群、水によるうがいをする群、ポピドン・ヨードによるうがいをする群:なおうがいをする群の人には一日3回以上のうがいを促す)に分け、60日間のフォローを行っています。何も介入しない群、水によるうがい群、ポビドン・ヨードによるうがい群のincidence rateは、それぞれ0.26, 0.17, 0.24 episodes / 30 person-daysとなっています。「episodes / 30 person-days」を少し説明しますと、人数×日数が30となる人数および日数の間に起こったエピソード(この場合は上気道炎の罹患)の回数を示します。例えば0.26 episodes / 30 person-daysならば、例えば1人が30日間で、あるいは2人が15日間などで上気道炎に罹る回数が0.26回と言うことになります。



さすがに子どもでの検討は難しいだろうと思いきや、ありました!観察研究ではありますが、Nodaらが2012年に2歳から6歳の何と19,595人の幼児の20日間におよぶ研究結果を報告しています。それによると少なくても1日1回うがいをするグループではodds ratio 0.68で有意に発熱が少なかったとのことです。なおかつ何でうがいをするかということで検討してみると、緑茶が最もodds比が小さく0.32、続いてアルカリイオン水やオゾン水などの機能水で0.46、単なる水で0.70となり、緑茶が最も効果的だとなっています。
またSakaiらはうがいは上気道炎を予防するには費用対効果が良い方法であるとの報告をしています。まあ日本では水道水であればほとんどお金はかかりませんしねえ。また直近では2016年にIdeらがメタ解析により緑茶による「うがい」がインフルエンザ予防に対して効果があるとしています。問題は、やっぱり「うがい」に関する医学論文は日本からのものが非常に多いんですね。2016年発表のIdeらの論文でも解析対象となった5論文は全て日本人が筆者の論文です。また、医学論文の検索ができるPubMedで、”gargling”を検索すると183の論文がヒットしますが、新しいものから順に数えて行っても半分以上は日本人の筆者のようです(全部は数えていませんが)。”gargling”+”infection(感染)“では39論文中21論文が、”gargling”+”influenza”では17論文中12論文が日本人の筆者です。そして研究対象となっているのは日本人ですから、「うがい」に親和性が高い人達を対象にした研究ということになってしまうのかなあと思います。誤解がないように言葉を追加しますが、決して論文を否定しているわけではありません。全ての状況で普遍的に正しいかどうかはちょっと立ち止まって考えないといけないのかなと思うのです。また反面「うがい」をする習慣のある日本人からその有用性について世界に向けて発信していくという意義もあるのではないかと考えます。
最後に緑茶とイソジン(つまりポピドン・ヨード)のうがいについて。緑茶にはカテキンが多く含まれ、健康に良いという話は聞かれたことがあるでしょう。カテキンは実験室レベルではインフルエンザウイルスに対して抗ウイルス作用があることが報告されています。では実際のヒトの世界ではどうなんでしょうか?まだその辺はこれからということだと思います。今回ご紹介したような研究が発展していくとその有効性が証明されていくのかも知れません。そしてイソジン(つまりポピドン・ヨード)ですが、以前は消毒と言えばイソジンって感じでしたが、今はそうでもありません。そもそもポピドン・ヨードが消毒効果を発揮するためには適切な濃度と接触時間が重要です。なので、水や唾液で薄まり、なおかつ流れ落ちて行きやすい液体ですから咽頭粘膜に長くは付着し続けることが期待できないのではないかと容易に推測されます。そしてその成分としてのヨードは摂取量が多くなると甲状腺の作用を低下させます。実際にそのような症例報告も散見されます。過ぎたるは及ばざるが如し。
まとめると。
 「うがい」は、風邪やインフルエンザ予防にある程度有効
 緑茶が優れているようだが、普通の水でも効果がある
 ポピドン・ヨードでのうがいは効果が乏しいか、あるいは長期間頻回はかえって問題

文献
Satomura K, et al. Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial. Am J Prev Med. 2005;29:302-7
Noda T, et al. Gargling for Oral Hygiene and the Development of Fever in childhood: A Population Study in Japan. J Epidemiol 2012;22:45-49
Sakai M, et al. Cost-effectiveness of gargling for the prevention of upper respiratory tract infections. BMC Health Service Research 2008;8:258
Ide K, et al. Effect of gargling with tea and ingredients of tea on the prevention of influenza infection: a meta-analysis. BMC Public Health 2016;16:396



2018/05/25

WHY ジャパニーズピーポーは病気でもないのにマスクしてるんだあ~

Why ジャパニーズ・ピーポは病気でもないのにマスクしてるんだあ〜?

私はマスクが大嫌いだ!!
なぜだか、わかりますか?
それはね。息苦しいからです!!医師の仕事の多くは実は話をすることなのに、話をしていると口の中に引き込まれて気持ち悪いし、きちんとすればするほど息苦しくて口の中に入って来る。だから私はマスクをできるだけしないのです。
なあんてね!
マスクが嫌いなのも、できるだけしないのも本当。でも理由はうそ!
マスクしてても別に息苦しくないよって思ったそこのあなた!きちんとしています??
今日本で最も普及しているマスクは、サージカルマスクと言います。コンビニとかドラッグストアで売っているマスクの多くはこのタイプで、たぶん皆さんもこのサージカルマスクをされることと思います。もともと外科医が手術の時にしていたことから、外科用つまりサージカルマスクと言いますが、世界的にはメディカルマスクと呼ばれています。ご存知のようにマスクは、鼻と口の両方を覆って、上辺の針金を鼻の形に沿って折り曲げて、できるだけ顔にフィットさせて使います。こうやってきちんと使うと、ちょっと大きく息を吸ったり、話す時に息継ぎが大きかったりすると吸い込まれますよ。そうならないあなたは使い方があまい!!たまに鼻の穴が出ている人とかを見かけると、病院内の感染予防対策の責任者をしている私としては見過ごしならぬ!となります。君は、鼻の穴を閉じられるんか?!と突っ込みたくなります。だってそうでしょう?口は閉じていても、鼻の穴は閉じられないでしょう!!マスクは鼻を守るためにするんです。病気がうつらないようにするには、病原体の侵入経路になる穴を守らないといけませんし、病気をうつさないようにするにはくしゃみしたときに飛沫をばらまく口と鼻をふさがないといけません。
さて、私がマスクが嫌いな本当の理由は、マスクしている人の顔を覚えるのは至難の技だからです。って言うか、マスクしてる人の顔って覚えられます??お願いだから、病気でもないのにマスクするのはやめてと言いたいくらいです。記憶に新しい?少なくても私にとってはついこの前の2009年春から夏(これってもしかしてすごい昔??)に社会問題にもなった“新型”インフルエンザの時には、もうみんながみんな病気でもないのにどこにいってもマスクをした人ばかりでした。あの時は子どもさんを連れてくるお母さんもマスクをしてない人の方が珍しかったのです。おなじみの方なら良いのですが、初対面とかですとその後お会いしても全然顔が思い出せなくて本当に難儀しました。もともと顔を覚えるのは苦手ですが、それでも何とかお母さん達のお顔は覚えようとはしてるんです。でも目の部分だけでは覚えられませんわ。顔がわからないようにするために目の部分だけ黒く隠してある人相の逆バージョンですからね。これが私がマスクが嫌いな最大の理由。
そして次は、表情がわからなくなることです。もちろん話をしている相手の表情がわかりにくくなって私の話をどう受け取っているのかもわかりにくくなるっていうこともあります。でも一番気を付けるのは、こちらの感情が相手に伝わりにくいということです。私たちは子ども相手に仕事していますので、診察の時に先ず考えることは子どもを怖がらせないためにはどうすれば良いかですね。特に小さな子の場合にはにっこり微笑んであげる、これが大事です。経験的に同じように微笑んであげてもマスクをしてない時としている時では全然反応が違います。特に2〜3歳くらいまでの子では。
そして、きちんとしてないマスクが気になって仕方ないということです。一般の方ならともかく医療者が間違ったマスクのしかたをしていると、マスクの意味理解してるの?と。どうせするなら、正しくしようや!

実は病気でもない人がマスクをするのは、世界的には極めて奇妙なことで、東アジア、とりたて日本で見られる奇妙な習慣なんです。



日本の若い人たち、とりたて若い女性は、感染予防と言う目的以外でマスクを着用するそうで、「小顔に見える」とか「ミステリアスに見える」とか言って、一種のファッションアイテムなんだそうです。昨年秋にはZIP!で欅坂46が出て三次元マスクとやら言うものを宣伝していました。「本当の自分を見られたくない」とか他にも理由はいろいろあるそうです。「伊達メガネ」ならぬ「伊達マスク」ですか!もし興味があったら、上の記事を読んでみて下さい。それにしても高機能を謳うマスクをメーカーバックアップでファッションアイテムとして宣伝するとは!!なんともなあ、です。てなわけで、余計に嫌いです。
しかし好き嫌いで判断したり、世界的に奇妙だからという理由だけで、それをしないというのはあるべき姿ではありません。そこで勉強してみました。
マスクの有効性を検討した研究が結構あります。それらの研究のお話をする前に、これからのお話の中でよく出てくる用語、取り立てマスクの種類について整理しておきます。マスクにはだいたい3種類あるのをご存知ですか。
えー っと。普通のマスク、口(だけ)マスク、また使おうと思って肘に付けてる肘マスク、・・・・とか考えてるあなた!!マスクは付け方は一つしかありませんよ。



3種類というのは、布マスク(cloth mask; クロスマスク)、外科用マスク(surgical mask;サージカルマスク、またはmedical mask)、そして空気感染対策用のマスク(日本ではN95マスクと言う名称で知られていますが、一般名はrespirator maskと言います)です。以下、順にCマスク、Mマスク、Rマスクと略すことにします。布マスク!(Cマスク)懐かしいですね。今や日本ではほとんど見なくなりました。でもたまに小学校とか幼稚園の子が布マスクして小児科外来に来ると、昔を思い出します。世界的には今でも東南アジアとかでは洗濯して使われているそうです。経済的な問題なんでしょうね。
それともう一つ大事な話です。マスクの性能とマスク着用の効果は別けて考えないといけません。マスメディアでは、ウイルスや飛沫の捕集効率の高さを宣伝する内容がよく見られます。それこそ皆さんよくご存知の「ためしてガッテン」でもやってました。正確にマスクを着用することによって飛沫の飛散を劇的に減らすことができたという内容です。確かに間違ってはいません。一般の方は、マスクをきちんと着用すると飛沫の拡散や吸入量が減るので感染率が減る、つまりマスクの効果があると受け取ると思いますが、実はこれは科学的医学的根拠ではありません。マスク着用の感染予防の効果を立証するためには、マスクの着用という以外の条件が同じであるマスクをした人のグループとしなかった人のグループの感染率を統計的に調べて、マスクをした人のグループの感染率がマスクをしなかった人のグループの感染率より統計的に有意に低いことを確認して初めて医学的根拠があると言えるのです。

一つ理解していただかないといけないことは、感染率の検討には、その検討の行われている集団により結果が違ってくる可能性があることです。つまり非常に感染のリスクの高い集団で行われた検討と感染にさらされるリスクの低い集団での検討は同じように論じてはいけないということです。そのことを念頭に置きながら、文献を引いて勉強してみましょう。

1.先ずは、医学的根拠となるレベル(エビデンスレベル)の最も高い研究手法としてのメタ解析の論文です。
(Saunders-Hastings P, et al. Effectiveness of personal protective measures in reducing pandemic influenza transmission: A systematic review and meta-analysis. Epidemics 2017;20:1-20)2009年のインフルエンザ・パンデミック時の検討で非常に新しい報告です。
これによるとマスクの効果は、あったとする報告となかったとする報告が混在しているで、有意に効果があるとは判断できなかったという結果です。しかし、ランダム化比較試験では有効性が示唆されるとされています。

2.次に医療機関でのマスクの効果を評価した研究を見てみましょう。最近の研究の中から、エビデンスレベルの高いクラスターランダム化比較試験を見てみます。(MacIntyre CR, et al. A cluster randomised trial of cloth masks compared with medical masks in healthcare workers. BMJ Open 2015;5:e006577)
この研究は、Cマスクがまだ比較的よく使われているベトナムで行われたもので、この研究によると、Mマスク群とコントロール群(特にマスクを着用する着用しないことに介入しなかった群、マスクをするなというのは倫理的でないという理由からだそうです)には感染率に有意差はなかったとの結果です。詳細に見るとMマスク群の方が感染が少ない傾向にはあるようには見えますが。Cマスクは、むしろ感染のリスクを高めると言う結果です。使ってるうちにベトベトになる、ろ過効率が悪い、洗って再使用する、などがその理由として述べられています。箱買いすると1枚◯十円という日本ではやはりサージカルマスクを使うのが良さそうです。

3.家庭内ではどうでしょう?家庭で子どもが感冒に罹患してしまった場合に、大人が家庭でマスクをすることが感染を予防する効果があるかどうかという研究があります。(Maclntyre CR, et al. Face Mask Use and Control of Respiratory Virus Transmission in Households. Emerg Infect Dis 2009;15(2):233-241)
ウインターシーズン、つまりインフルエンザシーズンでの検討です。先ず最初に15歳までの子どもが感冒を発症した家族で、その家族には少なくても2人以上の大人がいる145家庭を、マスクをしない群(50家庭)、Mマスク群(47家庭)、Rマスク群(46家庭)に割り当てて検討したものです。結果は、次の通りです。①63.8%でウイルスを検出した(A型インフルエンザ13.5%、B型インフルエンザ4.9%など)。②3群間で、成人の感染の発生率に有意な差は見られなかった。③MマスクであれRマスクであれ、1日中またはほとんどマスクを着用していた場合には1日あたりの感染率を0.26倍に減らすことができた。この推定の95%信頼区間は0.09から0.77であり、上限が1.0より小さいので、常時マスクを着用している人の感染率の低下は有意である。④どちらのマスクがより効果的かどうかは決定できなかった。⑤ほとんどの時間しっかりマスクができていた人の割合は、1日目はMマスクで38%、Rマスクで46%だったが、その後割合は徐々に減少し、5日目にはMマスクで31%、Rマスクで25%まで減ってしまった。そのほかの人はほとんどマスクができていなかった。
どうやら濃厚接触のリスクが高い家庭で、子どもが感冒やインフルエンザに罹患してしまった場合に、ほとんどの時間にマスクをすることは、予防的効果はあることが示唆されるということのようですが、やはり問題は家庭でずっとマスクをしていることがなかなかできないということですね。
ここで「示唆される」という言い回しをしたのは、マスクをすること以外の衛生意識の問題が評価されていないためです。この研究を見てみると、あなた方はMマスクですよ、あなた方はRマスクですよ、と割り当てられても、しっかり遵守できる人と全然守れない人とがいることがわかります。当然、前者の人の方が衛生意識が高くて、手洗い・手指消毒・換気などのマスク以外の感染予防対策も怠らずなされている可能性が高くて、単純にマスクの効果とは言えないからです。

4.次に人混みに出かける場合はどうでしょう。毎年200万人以上が参加し、そのうち90%以上の人に一回は呼吸器症状が出て、呼吸器感染症のリスクは通常の数倍になると言われるメッカ巡礼での研究に対してのシステマチック・レビューがあります。(Barasheed O, et al. Uptake and effectiveness of facemask against respiratory infections at mass gatherings: a systematic review. Int J Infect Dis 2016;47:105-111)
このレビューでは、Mマスクはある種のなんらかの呼吸器感染症に対しては有効であるという結論を得ています。ある種のなんらかの呼吸器感染症という言い方がされているのは、レビューの対象となった研究での感染症の定義が、発熱、咳嗽、咽頭痛、嗄声、鼻汁とかいう感冒症状をもってそれとされているからです。特定の呼吸器感染症、例えばインフルエンザ、ではどうかというと、要検討とされています。
この検討は人混みと言っても大変な人混みとなるメッカ巡礼での検討ですから、単なる街歩きとかお買い物とかには適応できません。実際、市中でのMマスクの着用は、WHOもCDC(アメリカ疾病予防管理センター)もECDC(欧州疾病予防管理センター)も推奨していません。ただし、アウトブレイク時や、高齢者・妊婦・疾患がある人には推奨されています。

5.うつしてしまう可能性がある側としての検討、つまり感染のソース(源)のコントロールとしてのマスクの効果はどうかを見てみましょう。先ずはマスクの性能に関してです。
文献的に見ると(Radonovich Jr. LJ, et al. The respiratory protection effectiveness clinical trial (ResPECT): a cluster-randomized comparison of respirator and medical mask effectiveness against respiratory infections in healthcare personnel. BMC Infect Dis 2016;16:243)での実験では、Mマスクでほぼ90%のカット率となっています。興味深いことにさきに述べた「ためしてガッテン」での実験でも、顔との隙間を極力減らした正しい付け方をして、90%を超すカット率になった、適当に着用しているとカット率はすごく低い結果でした。同じような数値になっていることにびっくりしました。なかなかやるな!「ためしてガッテン」 問題は、マスクを着用すると感染を広げないようにできるかどうかです。
またまた出てきましたマスク博士MacIntyre先生!(MacIntyre CR, et al. Cluster randomized controlled trial to examine medical mask use as source control for people with respiratory illness. BMJ Open 2016;6:e012330) この研究は、呼吸器感染症に罹患した人をMマスクをする人のグループとしない人のグループとに振り分けて、家族内で感染が拡がるかどうかを検討したものです。結果は、統計的には有意ではないけれど、Mマスクをする人のグループでの感染率が低かったということです。

という訳で、マスクというものを再考してみました。皆さんが信じて疑わないマスクの効果、どうです?そうなんだあ!!でしょう。(笑い)個人的には、この程度の効果なら、マスク付けないで、自分の表情を子供たちに見せ安心してもらう方が得られるものが大きいような・・・

長々とお付き合いありがとうございました。
結論!!
一.付けるならきちんと付けようサージカルマスク
二.漫然と付けても意味なしサージカルマスク、リスク評価がとっても大事

皆さんは感染対策のためにはマスクよりももっと大事なことがある事を忘れてはいないでしょうか?
それは手洗い hand-wash、手指衛生hand-hygieneです。先に紹介したSaunders-Hastings Pらのメタアナリシスでは、手洗いや手指衛生は有意に感染を防ぐという結果になっています。この手洗いや手指衛生にはかなり強い医学的根拠があります。またの機会に紹介したいと思います。

マスクを否定するわけではありません。
適正に使おうと考えるステップにしていただけると嬉しいです。(小松)



2018/05/25

第2回子どものための連携カンファレンスを開催しました

第2回の「子どものための連携カンファレンス」を5月18日に開催しました。
今回のテーマは「ペアレント・トレーニング」で、地元の小学校の先生方や舞鶴支援学校の先生方、そして舞鶴こども療育センターのスタッフの方、当院精神科医など約25名の方の参加がありました。
講師は、当院小児科の瑞木匡先生にしてもらいました。私自身の復習がてら、ちょっと話をまとめてみました



ペアレント・トレーニングとは、より良い子育てをし、子どもの好ましい行動を増やし好ましくない行動を減らすために親が勉強や訓練をしてもらうことで、ペアレント(親)としてもトレーニング(訓練)である。発達障害児の子育てに絡めて言及されたりすることが多いけれど、そういう限定的なものではなくて、子どもの好ましい発達を促したり、個性を伸ばすために全ての親に必要なこと。親の不適切な関わりが続くと、子どもが自信を無くし、できることもできなくなる、消極的な子になる、親が嫌いになり親のいう事を聞かなくなる、ひいては二次障害に発展してしまうこともある。二次障害とは、極端な反抗、暴力、家出、反社会的犯罪行動、反抗挑戦性障害などの外在化障害や、不安、気分の落ち込み、強迫症状、対人恐怖、引きこもり、不安障害、気分障害、強迫性障害などの内在化障害である。そこでまず理解することは、子どもとの関わりの悪循環と良循環である。子どもが好ましくない行動をする⇒親が頭ごなしに怒る⇒子どもは自信をなくす、反抗だけする、反省できない⇒親はがっかりし、表情に出る⇒子どもの好ましくない行動が増える、というのが悪い循環、子どもが好ましい行動をする⇒褒める⇒自信を持つ、良い行動をすると褒美があることを理解する⇒子どもの好ましい行動が増える、というのが良い循環である。つまり良い循環を促進し、子どもの好ましい行動を増やし、悪い循環にはブレーキをかけ、子どもの好ましくない行動を減らすように親としての訓練を積むこととなる。
先ず、悪循環にブレーキをかけるためのステップ1は、よく言われる「怒るのではなく叱る。」叱るときは、穏やかに、近寄って面と向かって、端的に。ステップ2は、叱る回数を減らすこと。例えると、ドラえもんののび太君母のように、ガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミ・・・と言わない。叱る回数を減らすためにどうするか?子どもの行動を、3っに分類する。つまり、好ましい行動、好ましくない行動、絶対に止めさせないといけない行動(他人に対する暴力、自傷行為、破壊行動など)。叱るのは、絶対に止めさせないといけない行動にとどめる。確かに、叱るか叱らないかと言う線引きは、親の価値観によって大きく変わってしまっては良くないので、この3分類はわかりやすいものですね。
次に良い循環にアクセルを踏むためのステップ3は、叱るよりも回数多く褒める、褒め方のレパートリーを予め考えておく、人前で褒める、言い方を変えると褒めたことになる、例えば「自分一人で片付けが出来ない」→「一緒にやったらできた!」。ステップ4は、褒めるために目標設定する。普通は目標設定して、達成出来たら褒めるわけですが、それだとどうしても目標が高くなりがち、だから切り替えて褒めるために出来るだけ低い目標を設定するというものです。ステップ5は、目標を達成した場合のご褒美を設定する。例えば、その日の宿題が全部できたら、ゲームを30分やっても良い、など。ん!??と思いますよね。ご褒美が目的で、何かを頑張るって、それでいいんだろうか??って。でも案外これって物事を頑張っていくためのモチベーションの本質を突いているような。卑近なご褒美が目的で始めたような事でも、一つ一つの事を成し遂げた達成感や自分の成長を感じられる充実感を味わううちにご褒美の事はどうでもよくなって、そのことをできるようになる喜び、そのこと自体が目的になっていくことってよくありますしね。
ステップ6は、行動を分析する。つまりある反応や結果をもたらすきっかけや原因を一緒に考え、より良い行動ができるための環境設定をするということです。例えば、テレビが見たいから宿題をしない、朝が起きられないから学校に遅れる、というのであれば、きっかけ・原因の部分を変えていくための環境を整えるというわけです。そしてステップ7は、Don’tではなくLet’sで声掛けするということです。行動を否定するのではなく、促しで良い行動をとるようにしていくということです。
どうでしょう?なかなか「言うは易し行うは難し」ですね。質問コーナーでは、非常に本質的で、なおかつ誰もがそう感じるような質問が出ました。「ひとの子だったらそういう風にも出来るんですが、いざ自分の子だったらすぐ怒ってしまうのはどうしてでしょう?」う~ん・・・確かに。何となく他人の事だと冷静でいられるけれど、自分の事だと感情が先走ってしまうような遠近法の問題なのでしょうか。
今私が読んでいる「こどものための精神医学」(滝川一廣著)という著作の中に私なりの解答を見つけました。少し長いですが、引用してみます。「高度成長期の60年代、産業構造の変化とともに人びとの生活スタイルが変わっていくなかで「家庭機能の低下」「親子関係の希薄化」が進んでいるという危惧が識者によってしばしば語られた。これは実際に進んでいる事態とは逆さまの誤った認識だったけれども、ひとつには子育てにおける家庭や親子関係の役割が強く認識されるようになったこと、もうひとつには子育ての合格ラインが上がったこと、そこから出てきた言説だった。」少し言葉を加えると、子育てから社会の公共的・共同的な営みと言う側面がそぎ落ちて、親の私的な営みとなり、子育ての自由性がとても高くなって、親密な親子関係の形成とそれを介した濃密な子育てができるようになったが、反面子育てが親の肩にかかる部分がおおくなってしまった。要するにこれは自分の子育てに社会からのプレッシャーが大きくなってしまったためであると説明できるのではないでしょうか。
良くも悪くもそういう社会に生きていることだけは事実です。上がってしまった子育てのハードルを越えられるように親として努力しないといけないのかも知れません。ただ、子育ての合格ラインという言い方とその捉え方にも注意しなければいけないような気がします。子育てに合格や不合格というハンコはなかなか押せないということはすぐにご理解いただけるでしょう。この著作のなかではもちろんそういう意味合いだけで用いられていないことはすぐにわかります。本論を大きく外れてしまいますので、今回はこれまでにとどめておきます。
さて、二番目の話題は、子育てをしていく中で子どもの長所・欠点という捉え方ではなくて、特性として理解していくことが大事であるという話がありました。瑞木匡先生が言うには、六つの特性を考えてみましょうとのことです。すなわち、こだわり、コミュニケーション力、社会性、多動性、衝動性、不注意の六つです。お分かりのように前三者は自閉症スペクトラムで、後三者は注意欠陥多動性障害で問題となるものです。しかし、これはあくまで良し悪しをいうものではなくて、誰しもが持っている特性として理解していく事が重要だとのことです。例えばこだわりが人よりも強い場合、悪く言うと頑迷、良く言うと物事を深化できる、というようなものです。あることで名を馳せているようなひとは絶対こういう側面がありますしね。皆さんも、自分の特性について考えてみてはいかがでしょうか。
いろんな子育て論や方法がありますが、結局自分を育てる(自分が成長する)ことですね。そう思うと楽になりませんか?
  なお、内容に関しては齟齬があってはいけないので、瑞木匡先生に添削してもらっています。
(小松)



2018/05/13

2018年5月12日第12回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会開催!

昨日5月12日土曜日に第12回まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会を行いました。この講習会は日本周産期・新生児医学会認定の「専門(A)コースの講習会です。専門(A)コースは気管挿管や薬物投与を含めた臨床知識と実技で構成される、高度な新生児蘇生法を習得するためのコースで、周産期医療機関の医師、看護師、助産師や救急救命士などの方を対象としています。
お昼の12時から終わるのは午後5時過ぎになる、結構ハードな講習会です。今回は、医師1名、看護師6名、助産師6名、救急救命士3名の合計16名の方が参加されました。何と遠くは愛知県豊田市から参加されていましたし、大阪から3名、尼崎から1名と遠方から参加された方もおられました。舞鶴市の救急隊からは、前回に続いての参加があり、地元としては大変嬉しく、また心強く感じます。



実は、この講習会は私達舞鶴医療センターと舞鶴共済病院との連合軍で運営しています。周産期・小児医療に関しては仲が良いんです。インストラクターをされた舞鶴共済病院小児科の増田淳司先生、舞鶴医療センター小児科の瑞木匡先生、看護師の濱中温子さん、ご苦労様でした。
長時間にも関わらず、皆さん真剣に実習に取り組んでいました。やはり難関なのはマスク&バッグによる人工換気と気管挿管みたいですね。まあ、気管挿管って医師以外がする機会はないですからね。私小松はインストラクター補助として参加していますが、やはり一番感じるのは、「経験が邪魔をする」ということですね。NCPRは、アルゴリズムに則って処置を進めていく事が、赤ちゃんの蘇生にとって最もスムーズなかつ確実な方途であるので、先ずこの通りにするという事が求められますが、様々な経験をしてきていると知らないうちに色んな自己流と言うか手垢というかが自分のやり方・考え方に滲みこんでいて、それがしょっちゅう顔を出して邪魔をするので困ります。身体が勝手に動いて新しい知識では修正が効かないというか。ちょっと前の常識は、いまや非常識ということが結構あるので、そういう事を常に意識して、修正したり、ブラッシュアップしたりしないとダメだなって再認識させられる講習会です。



NCPRにこれまであまり触れてこられなかった方たちには大変緊張感のある講習会で、特に自分の施設以外で受けられた方にはとても貴重な経験になったようです。ちなみに舞鶴医療センターの小児科・産婦人科病棟のあるB3病棟にこの4月から新しく昇格で赴任された竹浦嘉子師長も悪戦苦闘しながらも頑張っていました(若手に教えを乞う師長~~!)。



まいづる新生児蘇生法(NCPR)講習会は、公開されていますし、参加費も結構お安くしています。どうぞどしどし参加して下さい。京都府の新生児死亡率が全国的にもあまり良くないから、周産期医療の整備をしなくてはいけないとかで、今京都府庁からも色んなアクションが起こされていますが、私はシステムがどうのこうのではなくて、こういう現場での知識・技術の普及と進歩こそが、地味だけれど確実に新生児死亡を少なくしていく道筋だと思っています。
こういう公開されたNCPR講習会には京都府の予算を取って来るぞ!! (小松)



2018/05/07

胃腸炎の脱水に関する最近の話題

胃腸炎の脱水に関しての勉強をしてみました
小児科医になってはや30年。最近感じるのは、感染症のうちほとんど経験しなくなったものがあることとウイルスの流行の季節感がずれてきたことです。激減した感染症と言うとやはり麻疹(はしか)と細菌性髄膜炎ですね。麻疹は、今でこそ全数報告となって最近でも100人規模の感染者があって大きくニュースに取り上げられていますが、小児科医になって3年目に全国的に結構大きな流行があって、たくさんの患者さんを診察した記憶、それこそ毎日何人かのはしかの患者さんを診た記憶があります。そして細菌性髄膜炎は、いわゆるヒブ(Hib)ワクチンと肺炎球菌ワクチンが定期接種となって、激減しました。舞鶴の地域では定期接種前までは年間2人位は罹患していたと思いますが、定期接種になってからはほぼほぼゼロですね。この辺の話はまた別の機会にしていきたいと思います。
ウイルスの流行の季節感というと、夏には手足口病、冬はインフルエンザなどが思い当たるでしょう。今回話題にするのはロタウイルスによる胃腸炎です。昔はこの病気は、「冬季白色便性下痢症」と言って、冬場に白っぽい下痢をするのが特徴の胃腸炎でしたが、最近は春先に流行しています。ロタが流行ると春が来たなあ、と感じるこの頃です。ああ、なんか切ない、トホホ・・
ワクチンの普及によって多くの感染症が激減したりして来た中で、このロタウイルスによる胃腸炎は、今現在も日常的に経験する感染症のうちで本当に油断のならないものの一つです(;_;)。皆さんご存知のようにこのロタウイルスにもワクチンがあります。その効果は目を見張るものがあります。かかっても軽症でまず入院になる程にはなりません。しかし問題は任意接種で、しかも高額です。2回あるいは3回飲むものとありますが、どちらも2万5千円以上かかってしまいます。[ちなみに任意接種というとほとんどの方が、接種は任意、つまり打っても打たなくても良い(ロタウイルスワクチンの場合は飲むのですが)と捉えておられると思いますが、接種が任意なのではなくて、接種は推奨されていて接種期間が任意、つまり医学的に定められた期間内であれば任意の時期に接種できるという意味なのです。]2〜3年前に舞鶴市の保健センターの方に尋ねたところ、接種率は4割程度だそうでした。皆さんはこの数字をどう思われますでしょうか?私は予想してたより結構高いなと思いました。なんせ2万5千円以上かかるのですから、子供さんたちの健康に対する意識の高さに感心しました。でも出来るだけ多くの子供達が飲んでほしい、それが流行を小さくし、自分の子ども達だけ(個人防御)でなく、周りの子ども達への流行拡大を防ぎや被害を少なくする(集団防御と言います)筋道だからです。もちろん全員が飲んでくれるとそれに越したことはないです。
さてこのロタウイルスによる胃腸炎、なぜ油断ならないかというと、数時間とかいう単位で状態が急に悪化することがあるからです。もう少し言葉を加えましょう。ウイルス性の胃腸炎は文字通り胃→腸の順に症状が出ることが多いです。胃の症状、つまり嘔吐で始まって、普通は数時間から半日もすると吐き気はましになって、腸の症状、つまり下痢になる、このタイミングになると発熱を伴ってくることが多いのですが、多少食欲が出て、少しずつ飲んだり食べたりできるようになる、という経過が多いです。実は始まりの吐き気・嘔吐の強い時間帯に急にしんどくなることはあまりなくて、この始まりの時間帯さえうまく乗り切ればあとは回復に向かうことが多いのです。しかしロタウイルスによる胃腸炎はこの後が問題です。いつまでたっても吐き気が取れなかったり、食べたり飲んだりができなかったり、下痢がものすごかったりする子がたまにいて、この子達が時間の単位で状態が悪くなることがあるのです。 こういう子を病院に連れて行くと、「脱水に気を付けて」とか「おしっこが出ないなら点滴が要ります」とか「機嫌が悪いようならもう一回連れてきて下さい」とか言われると思います。でもこれってたぶん意味が通じてないですよね。脱水に気を付けるとは???脱水にならないように水分をたくさん摂らせることなのか、脱水の症状が現れたら連れてきなさいということなのか、じゃあ脱水の症状ってどういう症状なんでしょう??あるいはおしっこが出ないなら点滴が必要ですと言われてもよく考えると元気な時でもそんな2時間や3時間おしっこが出ないことなんてよくありますし、「おしっこが出ない」というのは医者言葉の典型ですね。私はこのフレーズは絶対に使いません。夜の救急の仕事をしていると、昼間にクリニックの先生にそう言われたと言って下痢はしているものの普通に食べたり飲んだりできている元気な子を連れたお母さんが救急室に心配そうな表情で来られることがあります。点滴は必要ないですねと言ってもなかなか納得いただけず、かといって必要もないのに子供に針刺すのかというジレンマですね。そして機嫌が悪いようならって言われても、熱があって下痢してあんまり食べたり飲んだりできてない子が機嫌が良いわけないですしね。
そこで脱水の程度をわかりやすく、簡単な言葉で評価する術はないものでしょうか。実は脱水を評価するために20を超える指標が提唱されているのです。小児科の教科書にもいくつかあります。例えば体重の減少とか毛細血管再充満時間とかです。どれだけ体重が減ったかって難しいですよね。元々の元気な時のきっちりした体重を知っているお母さんやお父さんは少ないですしね。毛細血管再充満時間の説明は面倒くさいのでやめておきます。
というわけで、医療者でない方が子どもの脱水の程度を知る方法で、きちんと検証されたものがないかを探しました。今のところこれから話をするゴールドマン先生の点数表がたいへん理解しやすく、誰でも使えそうですので紹介します。[Goldman RD, et al. Validation of the clinical dehydration scale for children with acute gastroenteritis. Pediatrics. 2008 ;122(3):545-9. doi: 10.1542/peds.2007-3141.]



0点:脱水なし 、 1~4点:いくぶん脱水あり 、 5~8点:中等度以上の脱水あり

どうでしょう?お子さんを観察するだけでできそうではありませんか。ゴールドマン先生は5点以上を強い脱水としていますが、私的には3〜4点で黄色信号から赤信号に変わりそうなくらいのイメージです

さて、いざお子さんが胃腸炎になってしまったら、先ず何をすべきでしょう。よく言われるのは「水分を少しずつ上げて下さい」と言うことですね。では水分は何が良いのでしょうか。これまではWHO(世界保健機構)が推奨する組成の水分(経口補水液と言います)が一番だとされてきました。この組成の飲料は日本でも市販されていて、OS-1として知られています。水分を効率よく体内へ吸収するためには適当な濃度の塩分とブドウ糖が必要で、これを満たしたものがこの商品です。ちなみにこの商品の販売元と私は何の利害関係もありません。しかしこのOS-1は美味しくないんですよね、正直子ども達はあまり飲んでくれないことが多いんです。薬もそうですが、飲まないものは絶対に効きません。それで仕方ないのでスポーツ飲料を次善の策にしています。しかしこれはあくまで次善の策ですから、注意点のお話を追加するようにはしていますが、なかなか、先生がポ◯リ◯エッ◯でも良いって言った、となるから難儀です。でもこればっかり飲んでいると体のナトリウム濃度が下がって逆にすごくだるくなったり、ブドウ糖が多く含まれるので浸透圧によって下痢を悪化させたりするので注意が必要です。
そんな中最近注目すべき研究が行われました。これがなかなか面白いんです。世の中には偉い人がいるもので、こういうことを考えて、きちんと検証しようとする人がちゃんといるんですね。感心します。[Freedman SB, et al. Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016 May 10;315(18);1966-1974. ,PMID:27131100]これは、Journal of American Medical Association, 略してJAMAと言う非常に権威ある医学雑誌に掲載された論文です。最近はテレビドラマの影響なのか一般の方の中でもインパクトファクターという言葉が知られてきました。先日娘がいきなり「お父さん、インパクトファクターいくつある?」とか訊いてきたのにはびっくりしました。若干勘違いされている向きもないではないですが。ちなみに私は全部合わせても「10」位しかないのではないでしょうか。そこで調べてみるとJAMAのインパクトファクターは、「44.4」もあります!!
ちょっと話がそれましたが、この論文によると経口補水液よりも100%りんごジュースを水で2倍に薄めたものの方が成績が良かったと言うのです。確かにりんごジュースなら喜んで飲んでくれそうですものね。ただし論文というものは情緒的に読んではいけません。最後までしっかり読みましょうと言うことで、読んでみると。
•この研究の対象となったのは、生後6ヶ月から5歳までの軽度の脱水を伴った軽症胃腸炎の子どもで、平均年齢は28ヶ月です。医学における研究では、この対象が大事です。わかりやすく言うと中等症から重症の脱水を伴った胃腸炎にはこの結果は当てはめてはいけないということです。
•2倍希釈の100%りんごジュースあるいは他の好きな飲み物 vs 経口補水液
•アウトカムは、治療の失敗。これが重要です。どちらが優れているかではなくて、どちらが失敗しにくいか、なのです。失敗しにくければ優れているとも言えますが、失敗しにくい、イコール優れているということではないのです。アウトカム、難しい言葉ですが、研究の目的ですね。つまりこの研究のそもそもの目的はどちらが治療の失敗する割合が少ないかをはっきりさせるために計画されたということです。どちらが優れているかをはっきりさせようとするのであれば、それに見合った研究方法を取らなければいけないということです。この論文での治療の失敗とは、7日以内に次のことが生じた場合と定義されています。すなわち、点滴が必要になった、入院となった、予定外の再診、症状が長引いた、実際に本人をフォローして3%以上の体重減少あるいは明らかな脱水が認められた、こととなっています。
•経口補水液のグループでは、治療の失敗が25%で生じ、点滴が必要になったのは9%にのぼったが、ジュースのグループでは治療の失敗は16.7%で、点滴は2.5%にしか必要性が生じなかった。
•この研究はカナダから出されたものですが、実は北米では経口補水液がかなり高価で容易に入手しにくいという背景があるのです。こういう背景があるということが理解できていればこの研究目的やその意義もストンと腑に落ちるのですね。
結論としては、先進諸国では軽度の脱水を伴う軽症の胃腸炎の小児に対して、従来の経口補水液に替えて希釈リンゴジュースが適している
どうです?ちょっと難しかったですか。
ところで翻って日本には、お茶信仰的なものがありますよね。脱水にはお茶!みたいな。私が帰納法的に考えると、塩分ゼロで、利尿作用もあるし、NGだとは思うのですが、これも検証しなければいけないのでしょう。もしかして誰かもうやってるとか・・・・ (小松)



2018/05/02

NCPR打ち上げでオイスター

今年の冬は本当に寒かったですね。雪こそ少なかったですが、私が舞鶴に来てから一番の寒さでした。
でも、冬には冬の楽しみがあるもので、2月24日に舞鶴新生児蘇生法講習会[新生児蘇生法をNCPRと略します]の打ち上げで西舞鶴の港、匂崎公園のふもとにある最近話題の牡蠣小屋
美味星(オイスター)」さんに行ってきました。



正直牡蠣の概念を覆されました!! なんと言う肉厚、私の知っている牡蠣のゆうに5倍位はあろうかというデカさ。
何と天然ものだそうです。何でも天然ものに最後に栄養を与えて大きくしているそうです。
やっぱ!養殖とは違います!
それにしてもちゅるんとした牡蠣というイメージとは程遠く、私は○○○みたいと思うのですが、あんまり個人的な感想で、先入観を与えてはダメかもしれないので、あえて伏せておきます。

また、Rの付く月が来るのが待ち遠しい~ (小松)




2018/05/01

シリーズでお送りする舞鶴小児科NEW ARRIVAL 第2回

つい今さっきドクターカーが京丹後市の病院に向けて出発していきました。新生児のお迎え搬送です。
片道1時間半位の道のりです。当院のカバーする周産期の医療圏の中では最も遠方です。
さて、シリーズでお送りする舞鶴小児科NEWARRIVALの第2回が出来上がりました。
今回は「新生児低体温療法」(通称のーてー)の話です。(小松)



 




2018/04/30

子どものための連携カンファレンスへどうぞ

皆さん、こんばんは。
今日は一気にブログを書いています\(^o^)/
今年から、より一層地域に根差し、垣根のない小児医療を目指して、完全公開!誰でもwelcome!そして無料の勉強会を開催しています。「子どものための連携カンファレンス」と銘打っています。
第1回はもう終わってしまいました(;_;) 学童期のⅠ型糖尿病の話を当院薬剤部の糖尿病専門薬剤師上田善美先生にして頂き、学校の養護教諭の方を中心に10名を越える方々の参加がありました。
第2回を5月18日(金)16時から開催します。
第二回のテーマは、ペアレント・トレーニングです。聴きなれない言葉かもしれません。育児は、子どもを育てるとともに自分も育てます。
開かれたカンファレンスで、茶話会的にしていきたいと考えています。
残念ながら今は予算の関係で、お菓子は出ませんが、これから頑張って予算取りします!!のでどうぞよろしく。

どなたでも参加はご自由です。
もしご興味がありましたら、
舞鶴医療センター地域医療連携室
担当:土田 恵子
     竹原 寿子
TEL・FAX:0773-63-5836
までどうぞ。





2018/04/30

舞鶴医療センター通信 - シリーズでお送りする舞鶴小児科NEW ARRIVAL

私達舞鶴医療センター小児科は、京都府北部の周産期医療を守ろうと、ここ数年多くのことに挑戦してきました。
その足跡を残すため、「舞鶴医療センター通信」に「シリーズでお送りする舞鶴小児科NEW ARRIVAL」という連載を開始しました。
今回はその第1回ドクターカーです。



 




2018/04/30

舞鶴共済病院と合同周産期カンファレンス

NHO舞鶴医療センターは、京都府周産期サブセンターとして京都府から認定されています。しかし残念ながら色々事情があって分娩の現場は舞鶴共済病院にあります。つまりこの地の周産期医療は、分娩の舞鶴共済病院と新生児の舞鶴医療センターとに二分されていると言って過言ではありません。このブログを見ておられる多くの方がご存知のように、舞鶴医療センターと舞鶴共済病院とは車で10分と離れていません。しかし周産期医療にとってはこの10分弱がとてつもなく大きな溝になるのです。
こんな状態というのは、望ましくないのは明らかです。なんとかしようと色んな取り組みをしています。2017年秋からは、舞鶴医療センター小児科・産婦人科と舞鶴共済病院小児科・産婦人科の合同カンファレンスを月1回開催しています。単にカンファレンスと言うか会議と言うかじゃないか、って思われるかも知れませんが、それぞれの母体の病院であったり、母体の大学であったりが、異なる診療科が4つも集まって一つの事をしているというのは結構画期的なことなのです。
4月は19日(木)に行いました。この時は結構深刻な議論が交わされました。インフォームドコンセントのあり方で、○○までは生きられないというのか、○○になるまでは生きられる、と言うのかとか、「子どもの代弁者」であるべき小児科医だが、では子どもの本当の幸せであったり、望むことは何なのか、そして親御さんの心情は・・・などと言う重い議題でした。こういう事が議論できるということ自体が素晴らしい事なんだと思います。
それぞれ立場こそ違っても、お母さん・お父さん・生まれてくるあるいは生まれてきた子どものために、今できる事を少しづつでもしていく、そういうカンファレンスでありたいと思っています。





2018/03/23

ブログオープニングメッセージ

こんにちは
 京都府の北部、「海の京都」の中心に位置する舞鶴市にある独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センターの小児科です。この度公式ブログを発進します


    オープニング・メッセージですので、自己紹介的なことから始めます。


    私達舞鶴医療センター小児科は伝統ある小児科で、京都の小児医療の中では『北の砦』と呼ばれ、福知山以北の小児医療の一大拠点として頑張っています。これは先々代の院長である故小西清三郎先生が小児科医として長年この地で培ってこられたものです。私自身は小西清三郎先生に直接師事したことはないのですが、小西先生に師事したことのある同僚達の中には脈々と小西イズムが流れています。


    多くの教えがあったものと思いますが、私が印象的に記憶に留めているのは、「老ノ坂を越えさせてはいけない」というものです。老ノ坂というのはご存知だとは思いますが、現在の亀岡市と京都市の間にある峠で、その昔は山陰、丹後、丹波から京の都に入る最後の峠ですね。この言葉の意味は、この地の病気の子供達はこの地で救っていかなければいけないということです。


    今は医療が高度化してなかなかそうもいかないというか、本当に子供達のことを考えると都市部の専門医療機関に頼った方が良いなあと考えることも多いですし、京都縦貫道もつながって京都市内に入るのに1時間位しかかからなくなっていますので、余計にそういう考えに傾いてしまいがちです。でも、小西先生のこの言葉の真髄である、地域に根付いた小児医療こそ真の小児医療なのであると言うことは決して忘れてはいけないことだといつも思っています。



    ですので、この公式ブログは小児医療がこの地域により根付いていくために、病院と社会、医師と患者さん・そのご家族との垣根を出来るだけ低くしようと考えて形作って行きたいと考えています。子ども達の病気に対するタイムリーで役立つ情報を出来るだけわかりやすく、また私達の考えていることや時々は地域の面白い興味のあること、グルメ情報なんかも発信して行きたいと思っています。どうぞ可愛がってください。(小松博史)




2018/01/25

祝!ブログ開設

はじめまして、舞鶴医療センター小児科です!



 


































































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